たぶん個人的な詩情

本や映画の感想、TRPGとか。

たぶん個人的な詩情

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【読書感想】ダン・ブラウン『インフェルノ』ダンテに導かれ東奔西走。刻々と迫るタイムリミットにラングドンは間に合うのか――。著者の新境地を見る意欲作。

はじめに 久しぶりにダン・ブラウンを読んだ。彼の作品の面白さは、その息もつかせぬスピーディな展開と、読者の知的好奇心をくすぐる数々の蘊蓄、旅行欲を掻き立てる芸術や街並み、建造物の描写にあると思う。静と動、この二つを共存させるバランス感覚は素…

読書:アーサー・C・クラーク『2001年宇宙の旅』神への理性的アプローチ。知的興奮間違いなしの傑作。

先日、ユタ州の砂漠にて奇妙なものが発見されたと言うニュースが話題となった。それは何と、映画『2001年宇宙の旅』に登場する謎の石柱状の物体、モノリスを彷彿とさせるオブジェクトであったのだ。 公安局はこれについて「許可なしに連邦当局の管理する公有…

映画:『ミッション:8ミニッツ』――8分間を繰り返せ。ヒューマンドラマが光る傑作SF。

昨日テレビ東京を点けていたら、我らが午後ローで本作が流れ始めたので視聴。劇場公開時に宣伝を見ていて、面白そうだなあと思っていた作品だけにちょっと得した気分です。何でもこれが地上波初放送なんだとか。 \ミッションに隠された本当の真実とは…⚠/ …

読書:リチャード・マシスン『奇術師の密室』――究極の傍観者は何を見たのか。

リチャード・マシスンと言うと、私にとっては『地球最後の男』や『縮みゆく男』を書いた小説家であり、例に漏れずどうしてもホラーやSFのイメージが強いんですよね。あの『ナイトランド』でも追悼企画が組まれていたことですし。 ナイトランド(vol.7)…

【映画感想】『コンスタンティン』――天使と悪魔とキアヌ・リーブス。厨二病患者は見逃すべからずアクション映画。

今週のお題は「最近見た映画」とのことなので、今回は昨日アマプラで見たキアヌ・リーヴス主演の厨二病御用達アクション映画、『コンスタンティン』の感想をば書いていきたいと思います。 本作が公開されたのは2005年。子供ながら(だからこそ?)に格好いい…

【読書感想】瀬川ことび『お葬式』――恐怖と笑いは紙一重。可笑しみに溢れたホラー短編集。

笑いと恐怖の境界線は、思いのほか曖昧なのではないだろうか。そんな思い付きを裏付けるかのように、よくよく考えてみれば不思議で恐怖を伴う光景であるはずなのに、思わず笑みがこぼれてしまう、なんて状況はそう珍しいことではない。 もしかするとそれは、…

【映画感想】『天使の処刑人 バイオレット&デイジー』――少女から大人へ。人として人を殺すと言うこと。

創作にばかり触れていると、つい人の命の重さを忘れそうになる時がある。主人公の放った銃弾に倒れる敵。天変地異に巻き込まれ、数字で処理されてしまう被災者。ファーストネームだけが設定され、早々に退場する仲間A……。 映画においては端役に過ぎない役割…

読書:『試着室で思い出したら、本気の恋だと思う。』――今の自分を認めてあげたくなる一冊。

この本のタイトルを始めて見かけた時のことを未だに覚えている。それは確か、本屋で平置きの本を眺めている時のことだった。 感じたのは、鈍器で頭を殴られたかのような衝撃と、ある種の嫉妬。誠におこがましいことだが、文章を生業にしたいと一度でも考えて…