たぶん個人的な詩情

本や映画の感想、TRPGとか。

たぶん個人的な詩情

MENU

【映画感想】『メガロポリス』――変化、停滞、デマゴーグの先に。コッポラの描く未来に一人の映画人の人生を見る。

はじめに 先日、フランシス・フォード・コッポラの『メガロポリス』を観てきた。配給されるかすらも危ぶまれていたこの映画、配給が決定した時は見逃さないようすぐに行こうと思っていたのに、気付けば上映している映画館も残り少なくなってしまった。 今回…

【今週のお題】バザーのカレーとグリーンカレー。私にとっての至高のカレーとは――。

はじめに 今週のお題は「カレー」とのこと。お題の説明は以下。 暑い夏こそ食べたくなるカレー。この時期は夏野菜を使ったカレーもおいしいですよね。みなさんどんなカレーが好きですか? 今週は「カレー」をテーマに、みなさんのエントリーを募集します。「…

【読書感想】南條範夫『からみ合い』――癌に侵された社長の遺産を巡るサスペンス。四人の隠し子探しを命じられた側近たちの思惑が絡み合い――。

はじめに たまたまKindle unlimitedで南條範夫氏の小説『からみ合い』に出会った。氏の名は知らずとも、漫画『シグルイ』の原作小説『駿河城御前試合』の作者だと言えば合点の行く人も多いのではなかろうか。 シグルイ 1 (チャンピオンREDコミックス) 作者:…

【映画感想】『プリンセス・ブライド・ストーリー』――孫に読み聞かせる真実の愛の物語。なぜなら、彼もまた特別な存在だからです。

はじめに X(旧Twitter)を眺めていたら、クトゥルー神話研究家・森瀬繚氏のポストをたまたま目にし、見てみたのが今作『プリンセス・ブライド・ストーリー』。 メチャメチャかっこいいスペイン人剣士でお馴染み(だといいな!)の映画、『プリンセス・ブライ…

【映画感想】『アビゲイル』――誘拐した少女はバレリーナヴァンパイア?恐怖よりかは笑いを楽しむべき珍品。

はじめに このブログを読んでいるような人であれば、アビゲイルと聞いて頭をよぎるのは、セイラムの魔女裁判で名高いアビゲイル・ウィリアムズだと勝手に思っている*1。 かく言う私もそんな人間なので、アマプラでこのタイトルを見かけた時は、名前に惹かれ…

【読書感想】『吸血鬼ハンター"D"』――憎いほどに王道。弱きを助け強気を挫く"D"の物語開幕。

はじめに 映画館で『バンパイアハンターD』を観たことは先日ブログでも触れました。今回は原作を読んでみたので感想です。 bine-tsu.com 映画版は3作目である『吸血鬼ハンター D-妖殺行』を原作としているため、ストーリーはまったくの初見。多くは語らず、…

【映画感想】『ANORA アノーラ』――身分違いの恋の結末。シンデレラストーリーの後も人生は続く。

はじめに 少し前に『アノーラ』を観てきました。アカデミー賞で5部門受賞、監督のショーン・ベイカーは、単独作品で最多のオスカー4つを受賞したことでも話題となりました。 普段はアカデミー賞受賞作だからと言って観に行くことはないんですが、話題作は…

【映画感想】『松島トモ子 サメ遊戯』――日本で生み出されてしまったサメ映画の極北。昭和愛に溢れた夢の狂演を、最後まで見る覚悟はあるか【サメ企画⑦】

はじめに 先日、池袋のシネマ・ロサにて『松島トモ子 サメ遊戯』を観てきました。アカデミー賞にてオスカーを4つも獲得した、かの『アノーラ』を観た帰り道、ふとⅩで舞台挨拶があること、そして席も残りわずかだということを知り、勢いで席を予約。 『アノ…