たぶん個人的な詩情

本や映画の感想、TRPGとか。

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読書

【読書感想】加門七海『祝山』――もう肝試しなんてしない。思わずそう決意を固めたくなる実話怪談風ホラー。

はじめに 海外の怪奇小説は好んで読むのに対し、国内のホラー作品はあまり読んだことがありません。食わず嫌いと言うのもありますが、それ以上に読むのが怖いと言うのが大きな理由として挙げられます。何を馬鹿なと思われるかもしれませんが、海外ものはあく…

読書:D・プレストン&L・チャイルド『レリック』――質の高いB級作品はB級なのだろうか。

たまたま手に取った本が予想以上に面白いと何だか幸せな気分になってしまう。そんなちょろさを久々に発揮させられたのが、今回感想を書いて行く『レリック』です。落差が恐いため、普段はあまり期待せず作品に臨むことにしているんですが、本作はそんな保険…

読書:エレン・ダトロウ編『ラヴクラフトの怪物たち 上』――現代作家による粒揃いのクトゥルフアンソロジー。

クトゥルフ熱の高まりにより、ちょっと前に買っていた『ラヴクラフトの怪物たち』の上巻を読了。ここ最近*1は新潮文庫でラヴクラフトが出たり、青心社からもアンソロジー*2が出たりと、この界隈が活発なようで嬉しい限りです。新紀元社はこれまでクトゥルフ…

【読書感想】コリン・ウィルソン『ロイガーの復活』――コリン・ウィルソンなのに最後まで面白い怪奇小説。

TRPGのシナリオで「ロイガー」を使いたいと思い立ち、前々から気になっていた『ロイガーの復活』を読了。ラヴクラフト風の書きぶりながらコリン・ウィルソンの持ち味がしっかりと活かされた中編で、今まで読んで来た彼の小説の中でも一、二を争うほどに面白…

読書:タニア・ハフ『ブラッド・プライス―血の召喚―』――都会の闇と女探偵とファンタジー

タニア・ハフ『ブラッド・プライス』を読了。手軽に読める本をと思い手に取った本作ですが、その予想に違わず読みやすく、気付けば一気に読んでしまいました。 ブラッド・プライス―血の召喚 (ハヤカワ文庫FT) 作者: タニアハフ,Tanya Huff,和爾桃子 出版社/…

【読書感想】エリック・ジッリ『洞窟探検入門』――洞窟の種類からアタック方法、果ては生存戦略までお手の物な入門書(?)。洞窟に挑む際は是非。

〇〇入門的な本はそれこそ星の数ほどありますが、それらを大別するならば、入門書は教養系とハウツー系の二つの系統に分けることができると思います。ざっとAmazonの書籍ジャンルで「入門」と調べてみた限りでは、教養系では哲学を中心とした思想系が強く、…

【読書感想】ハガード『ソロモン王の洞窟』――ソロモン王の財宝を求め、暗黒大陸アフリカへ。秘境冒険小説の金字塔。

秘境冒険小説が好きです。外連味たっぷりの言い回しや設定、言動にストーリー、そして未知の世界へと分け入っていくワクワク感……。アフリカは未だ暗黒大陸で、地球は空洞、衛星写真なんてものはなく、世界は未だ未知のヴェールに包まれています。 そんなジャ…

読書:ニコラス・コンデ『サンテリア』――現代に甦った正統派怪奇小説。

ニコラス・コンデ『サンテリア』を読了。ずいぶんと前から本棚の肥やしになっていたんですが、これがよかった。とてもよかった。久しぶりに骨太の怪奇・恐怖小説を読めて新年早々幸先がいいなと思っています。 サンテリア (創元推理文庫) 作者: ニコラスコン…