たぶん個人的な詩情

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映画:『そして誰もいなくなった』(1945) ――それはまるで上品な喜劇のような

アマプラにて『そして誰もいなくなった』を視聴。言わずと知れたアガサ・クリスティの同名作品を原作とした本作、原作は読んだことがあったものの、犯人と結末しか覚えていなかったこともあり、新鮮な気持ちで見ることが出来ました。

緊張感を保ちつつ、それでいてユーモラスな演出が随所に見られたりと、飽きの来ない内容でとても面白かったです。画作りが上品なのも印象的で、殺人を題材としながら、まるで品の良い喜劇を見ているかのような錯覚すら覚えます。

役者の名演や、思わず口ずさみたくなる音楽の出来もさることながら、やはりこうした雰囲気を支えているのは巨匠ルネ・クレールの手腕と言って差し支えないでしょう。

孤島へと向かう船上の様子から登場人物の性格を描き出すシークエンスは見事と言うほかなく、また停電の中で話し合う判事と医者の姿は滑稽で、思わず笑ってしまいそうになりました。その他、二つの個室を繋ぐバスルームを用いたいくつかのシーンも忘れられません。

人によっては本作のこうした明るさに面食らうかも知れませんが、そうは言ってもそこはミステリー、館内の険悪な雰囲気や互いへの疑心暗鬼と言ったクローズドらしい見どころもちゃんとあるのでご安心を。

総じて面白く、個人的には満足の『そして誰もいなくなった』。ミステリ映画としての質はもちろん、コメディとしても面白いとあっては言うことなしでしょう。

昔結構ミステリを齧っていたせいか、なんだか懐かしくなったので、これを機にクリスティでも読み返してみようかと思います。まずは手っ取り早く原作ですかね。

ちなみに、結末を理由に映画を非難している感想やレヴューを見かけましたが、調べればわかる通りこれは戯曲版に従ったまでのこと。戯曲自体クリスティが手掛けたことを考えれば、それを理由に映画にけちを付けるのはお門違いのように思います。

ではまた。

そして誰もいなくなった CCP-147 [DVD]

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そして誰もいなくなった(字幕版)

▶And Then There Were None (1945) /アメリ

▶監督:ルネ・クレール

▶制作:ルネ・クレール、ハリー・M・ポプキン

▶脚本:ダドリー・ニコルズ

▶原作:アガサ・クリスティ

▶音楽:マリオ・カステルヌオーヴォ=テデスコ

▶キャスト:

バリー・フィッツジェラルド:フランシス・J・クインキャノン

ウォルター・ヒューストンエドワード・G・アームストロング

ルイス・ヘイワード:フィリップ・ロンバード

ジューン・デュプレ:ヴェラ・クレイソーン

ローランド・ヤング:ウィリアム・H・ブロア

ミシャ・オウア:ニキータ・スターロフ

 C・オーブリー・スミス:ジョン・マンドレイク

ジュディス・アンダーソン:エミリー・ブレント

リチャード・ヘイデン:トーマス・ロジャース

クイニー・レナード:エセル・ロジャース