たぶん個人的な詩情

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映画:『美女と液体人間』――古き良き特撮映画、東都を襲う液体人間の恐怖。

このたびアマプラにて『美女と液体人間』を鑑賞しました。以前、円谷英二について一家言持つ方とお話させていただく機会がありまして、その方にお勧めされて以来、ずっと見たいと思っていたんですよね。

なのでこうして本作がアマプラに入っていたのは運が良かったです。古めの邦画は、意外とレンタルビデオショップに置いていなかったりしますから。

で、実際に見てみたところ、題名やパッケージから受ける印象に反し、煽情的な要素は抑えめで、思った以上に真っ当なSFホラーの雰囲気だったこともあり、個人的に中々楽しめる作品でした。もちろん、特撮映画としても凝った演出が多く、その点でも見応えがあります。

中でも、液体人間の特撮は本作の見どころの一つでしょう。液状の物体*1を、恐らくは傾けた床や壁のセット上で流しているのでしょうが、タネが分かっていても、ああして滑らかに動く様にはリアリティがあります。

また、液状化した人間が服のみを残してじゅくじゅくと溶けていく演出も不気味で、見ていて気持ちの良い特撮でした。そして映画のラスト、セットとは思えないほどに燃え盛る隅田川の様子は素晴らしいの一言に尽きます。

核実験への警鐘を鳴らす液体人間と言うSF要素をベースにしつつ、大筋は刑事ものであるため、飽きが来ないと言うのも本作の面白さの要因でしょう。SFとしてのメッセージに加え、ホラーとしての余韻も十分備えています。また、キャバレーやギャングと言った要素からは、普段特撮作品ではあまり見受けられない、大人な雰囲気が感じられたのも面白かったです。

そして、怪獣とは異なる人間大の脅威でありながら、国家が率先して動き、対策を練る様子からは、現今の作品にはない昭和らしいスケール感を感じますね。

今であれば、液体人間の対処は科学者である政田個人の問題となり、個対個の戦いになっていたかもしれません。こうした変化は、当時の政府への信頼の厚さからなのか、はたまた戦時の記憶が新しい時代故なのかは分かりませんが、昭和らしい特徴のように感じます。

キャストについて言えば、題名にも入っている美女こと、新井千加子を演じる白川由美さんは艶っぽさのある美人で、本作の華やかさを一手に担っていると言っても過言ではありません。 

また、平田さんを始めとする脇を固める方々も、往年の特撮映画らしい面々で良いですよね。作品によってこうした役者さんの役柄が大きく変わるのも面白かったりします。

総じてバランスが良く、中々に面白い作品でした。お勧めされなければ見なかったかもしれませんし、出会えたことに感謝ですね。残る二本の「変身人間シリーズ」もアマプラに入っているようなので、折を見計らって見てみたいと思います。

では、今回はこの辺で。

美女と液体人間

美女と液体人間

  • 発売日: 2014/07/01
  • メディア: Prime Video
 

美女と液体人間 [東宝DVD名作セレクション]

▶美女と液体人間 (1958)

▶原作:海上日出男

▶監督:本多猪四郎

▶脚色:木村武

特技監督円谷英二

▶音楽:佐藤勝

▶:キャスト

新井千加子:白川由美

政田:佐原健二

富永:平田昭彦

宮下:小沢栄太郎

真木博士:千田是也

*1:Wikipediaによれば、化粧クリームのベースに使われていた素材を有機ガラスと呼び、溶かして使用していたらしい。