たぶん個人的な詩情

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【映画感想】『コンスタンティン』――天使と悪魔とキアヌ・リーブス。厨二病患者は見逃すべからずアクション映画。

今週のお題は「最近見た映画」とのことなので、今回は昨日アマプラで見たキアヌ・リーヴス主演の厨二病御用達アクション映画、『コンスタンティン』の感想をば書いていきたいと思います。

本作が公開されたのは2005年。子供ながら(だからこそ?)に格好いい映画だなと思って早十数年、アマプラに入っていたので今さらながらに見ましたが、これがまあ予想通りと言うか、期待を裏切らない作品でかなり楽しめました。

主人公は悪魔を払うことを生業とした探偵のジョン・コンスタンティン。過去に企てた自殺を理由に決定付けられた地獄行きを回避するため、彼は世界の均衡を崩そうとする悪魔を日夜地獄へと送っているのだ。

そんな彼だが、日頃吸っている煙草によって余命は幾ばくもなく、私欲のために積んで来た善行にも価値はないと天使に断じられてしまう始末。自暴自棄になりかける中、彼は悪魔がこれまでにない動きを見せていることに気付く。

妹の死に不信を抱く女性警官と共に謎を追うことになったコンスタンティンは、果たして事件を解決することが出来るのか、そして彼の運命は……と言った内容の本作、原作がアメコミと言うこともあって、かなり厨二感の強い作品でした。

オカルトや宗教系の雑学や演出がさらっと説明もなく登場するのも、厨二感ないしオタク味が増している理由だと思います。冒頭にて流れる二次大戦末期に散逸した“運命の槍”との説明と、掘り出されたナチスの旗でテンションが上がってしまうのは厨二病を罹患したオタクの性と言うものでしょう。

アクション映画としての演出も格好良いですし、普通に楽しんで観られるレベルの作品だと思います。十年以上前の映画でありながら、悪魔や魔術の演出が古臭くなっていないのもこの手の作品としては評価ポイント。

格好いいキアヌが見たい、厨二っぽいアクションが見たいと言うのであれば是非ともお勧めしたい本作、少しでも気になったのならば是非とも見て欲しい作品ですね。メリケンサックでの悪魔祓いや、十字架を溶かして作った銃弾と聞いて疼いた人なら絶対楽しめると思います。

以下、ネタバレ気味に感想を書いていくので気になる方はご注意を。


Constantine (2005) Official Trailer # 1 - Keanu Reeves Movie HD

何度も書いた通り厨二感満載の本作ですが、戦闘描写も中々に手が込んでいて良いですよね。中でも好きなのは、悪魔のハーフ=ブリードであるバルサザールをボコボコにする際のメリケンサックと、スプリンクラーに聖水を混ぜ込むと言う発想。

バルサザールの戦闘開始時に鏡が溶け出す演出も良いですし、悪魔に対して天国送りが脅しになると言うのも面白かったです。また、後者のスプリンクラーの後、ショットガンで敵をばったばったと薙ぎ倒すシーンの爽快感は言うまでもありません。

後は、地味ながら仲間のビーマンから武器を調達し戦いの準備をするところも良いですよね。武器や装備なんかの歴史的・オカルト的由来を説明されるシーンをオタクは気に入りがち。

そしてキャストの面で言えば、言うまでもなくコンスタンティンを演じるキアヌ・リーブスが格好良くて良かったです。最近だと髭面のキアヌばかり見がちでしたが、本作の髭なしキアヌもやはり素晴らしい。スマートさと険しい雰囲気を併せ持った彼が、煙草を燻らす姿は画になりますし、スーツに黒ネクタイでのアクションシーンは良さしかありません。

またキャストについて触れるなら、ガブリエルを演じるティルダ・スウィントンの美しさに触れないのは嘘と言うものでしょう。性を超越したかのような彼女の美しさは最高に天使らしく、終盤の病んだ演技も最高にハマっていました。自らの狂気に無自覚であるらしい彼女の姿は、その美しさも相まって恐怖の一言に尽きます。

そして天使と対をなす悪魔の親玉、ルシファーを演じるピーター・ストーメアの存在感も見事と言う他なく、見た目だけではただ白スーツを着ている人間に過ぎないのに、その説得力と言ったらありません。

コンスタンティンや息子への言動も大物感に溢れていましたし、ガラスを割り部屋移動する演出も格好良くて好きです。コンスタンティンとの取引きで、さらっと妹のイザベルを天国へ送ってしまうのも良い。彼の天国行きを阻むために、肺からタールと癌を取り除く演出も面白いですよね。

名前ではピンと来なかったものの、見覚えがあり不思議に思っていたんですが、彼の出演作に『ロスト・ワールド / ジュラシック・パーク』とあり納得。歳を取り少し恰幅が良くなってはいますが、作中でコンプソグナトゥスにスタンガンを当てていた彼だったんですね。彼のことは何となく好きだったので、出演作に出会えてちょっと嬉しかったです。

その他、度々描かれる地獄の姿は凝っていて個人的には良いと思いましたし、魔術や小道具なども丁寧な作り込みでとても好感が持てる作品でした。好みで言えば、地獄の聖書のそれっぽい由来や来歴なんかがもう少し語られるとより良かったんですが、それはあくまで好みの問題なのでそれについては割愛。

総じて丁寧に作り込まれており個人的にかなり好きな作品でしたので、時折見返しては厨二成分を補給する作品のラインナップに加えさせてもらおうと思います。

最後に、先にも触れた肺に溜まったタールが流れ出す演出や、コンスタンティンの命をも奪いかねない癌の恐ろしさに触れたこときっかけに、禁煙を思い立つ人が少なからずいるんじゃなかろうかと思いつつ、今回はこの辺で。

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コンスタンティン / Constantine (アメリカ/ドイツ/2005)
▶監督:フランシス・ローレンス
▶脚本:ケヴィン・ブロドビン、フランク・A・カペロ
▶原案:ケヴィン・ブロドビン
▶原作:ジェイミー・デラノ、ガース・エニス
▶制作総指揮:ギルバート・アドラー、マイケル・アギーラ
▶制作:ロレンツォ・ディ・ボナヴェンチュラ、アキヴァ・ゴールズマン、ベンジャミン・メルニカー、ローレン・シュラー・ドナー、アーウィン・ストッフ、マイケル・E・ウスラン
▶音楽:クラウス・バデルトブライアン・タイラー
▶撮影:フィリップ・ルースロ
▶出演:
ジョン・コンスタンティンキアヌ・リーブス
アンジェラ・ドッドソン:レイチェル・ワイズ
チャズ・クレイマー:シャイア・ラブーフ
パパ・ミッドナイト:ジャイモン・ハンスゥ
ビーマン:マックス・ベイカ
ヘネシー:プルイット・テイラー・ヴィンス
バルサザール:ギャヴィン・ロスデイル
ガブリエル:ティルダ・スウィントン
ルシファー:ピーター・ストーメア