たぶん個人的な詩情

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【ドラマ】古畑任三郎「VSクイズ王」――芸術点の高い揚げ足取りとメタ的盲点。

いつの頃からか、Androidのホーム画面を右にスワイプすると、ユーザーの目を引く各種ニュースが一覧で表示されるようになりました。どうやらこれは「Discover」と呼ばれる機能のようで、暇を見ては漫然と記事を読むような日々を送っています。

で、先日たまたま見かけたのがこちらの記事。


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内容は各自目を通してもらうとして、この記事を読んでいてふと思ったことが一つ。それは「クイズ番組回の犯人って唐沢寿明さんだったのか」と言うこと。そもそも山田雅人さんが出演されていることも覚えていませんでしたし、せいぜいその回について覚えていたことと言えば、古畑がクイズ番組に出ていたことと、犯人がクイズ王だったことくらい。

なんせしっかりと古畑を見ていたのは小・中学生の頃だったので記憶はあやふや。その後も再放送を見たりはしていましたが、詳細を覚えていない回は当然ありまして、クイズ回もその内の一つ。

で、今回改めて再放送されると言うことで、いい機会だと思い「VSクイズ王」を見てみました。「こんなシーンあったなあ」と懐かしさを覚えることもあれば、「こんな会話あったのか」と言う場面もあったり。

被害者が伊集院光さんだったことすら覚えておらず、密室からの脱出方法と言ったミステリ部分も忘れていたためかなり新鮮な気持ちで見ることが出来ました。そんな中、唐沢さんが口から水を吐き出すカットや、挑戦者の主婦が実はクイズ強者だったなど、妙な部分は記憶に残っていたりするんですよね。

番組の弁当なんかに文句を言ったりする古畑の厄介さや、今泉のから回っている感じとかを見ると、「ああこれが古畑だよなあ」と何だか懐かしくなってしまいました。もう田村正和さんが見られないのは残念でなりませんが、ファンとしては残された作品を存分に楽しみたいと思います。

と、ネタバレなしの感想はこれぐらいにして、以下、ネタバレに触れていくので未視聴の方はご注意を。特に本作は前情報を入れずに見て欲しいタイプの作品ですのでお気を付けください。

まず面白かったのは、クイズ王にクイズを成功させることで犯人しか知り得ない情報を引き出す、と言う揚げ足の取り方。この手の揚げ足取りの多くは語るに落ちる、犯人のミスであるパターンが多い中、本作の揚げ足取りは芸術点が高いですよね。犯人の知識への貪欲さと、クイズ王の座への執着心を突いた良い引っ掛けだったと思います。

そして引っ掛けの肝となる「毎朝新聞」なる新聞の存在自体もまた、視聴者への引っ掛けとなっているのが面白い。一見「毎日」と「朝日」をもじった新聞の名前だと思ってしまうんですが、実はあちらの世界にもそんな新聞は存在せず、ドラマの小道具だったと言うメタ的な引っ掛けは素晴らしいの一言。

クイズ王がクイズに答えて逮捕されると言う展開も美しく、倒叙形式を見事に活かした良エピソードだったと思います。若かれし日の唐沢さんも神経質な感じが上手く出せていて良かったですし、二度見て楽しめる構成も面白かったです。

ちなみに、作中で登場する「フェニックスの定理」は陣内孝則犯人回の「笑うカンガルー」でも使われていた、こっちの世界におけるフェルマーの最終定理的な数学上の難問の一つ。古畑は意外とエピソード間の繋がりがあり、その辺りも見所ですよね。

古畑については好きなエピソードも多く、今後もちまちま感想を書いていくかもしれませんが、今回はこの辺で。再放送から日が空いてしまいましたが、書いたのなら上げないのも勿体ないと思い、今さらながらの更新でした。

▶VSクイズ王

▶放送:1996年2月14日

▶企画:石原隆

▶演出:松田秀知

▶脚本:三谷幸喜

▶音楽:本間勇輔

▶出演

古畑任三郎田村正和

今泉慎太郎:西村雅彦

千堂謙吉:唐沢寿明

沼田:伊集院光

海老沢:近藤芳正

堀部靖子:斉藤清子