はじめに
アマプラに眠る数あるB級映画。その中でも、一般的に微妙とされる2~3点代の映画は、意外と楽しめるものが多い。
これに対して、2点を切って来ると途端に雲行きが怪しくなる。馬鹿馬鹿しさという度合では測れない、映画の体を成していないような自己満的な作品も多く、ただ時間だけが無為に流れていく。そんな作品がこの点数ラインには多いのだ。
金持ちによる人間狩りが行われる島で九つの頭を持つ化け物が暴れ回るという最高のあらすじなのにレーティングが2を下回る映画、『ヒドラ』を観ます。 pic.twitter.com/XpYb4IEU1s
— びねつ (@bine_tsu) May 30, 2026
ただ、今回はあらすじが面白そうだったので観てみることにした。日曜の夜だったら観ることはなかっただろうが、幸い土曜の夜ならまだ余裕があった。芸術とは無縁のテレビ映画っぽかったので、そこまでヤバくはないだろうと思ったのも理由の一つだ。
静かな海域にひっそりと浮かぶ無人島に連行されたノーランら4人の死刑囚と、裕福な賞金稼ぎウィリアムズら4人集。そこは快楽のために仕組まれた"人間狩り"の舞台だった!しかし、地下深くに眠っていた伝説の怪物・ヒドラが目覚めた時、すべては地獄と化す!九頭の大蛇は血に飢え、獲物を次々と引き裂いていく!逃げ場のない島で人間同士の"狩り"はやがて、圧倒的怪物との死闘へと変貌する。
世にこの手の金持ちによる人間狩り、というテーマの作品は多い。人によっては食傷気味かもしれないが、やはりこの手のテーマは人を惹き付けるものがある。
武器もない主人公が機転を利かせ、傲慢な金持ちを返り討ちにする。安っぽいルサンチマンを発散しているだけなのかも知れないが、楽しいものは楽しいのだ。
そこに贅沢にもモンスターパニックをくっ付けてしまったこの映画、果たして鬼が出るか蛇が出るか……。
ちなみに、トップに貼っているリンクの画像(恐らくは現地のジャケット)は大嘘も良いところで格好良すぎる。かと言って、下に貼ってある日本のジャケットも肝心のヒドラのデザインが違っていたりして、別物だったりする。
感想
色々と勿体ない。それがこの映画を観終えた正直な感想となる。だが、これは何も本作を駄作と切り捨てたい訳ではない。この設定ならもっと面白い内容にできたろうに、と素人ながらに思ってしまったのだ。
まず、折角囚人、金持ち、ヒドラという三つ巴状態であるのに、これが上手く絡むことのないまま話が進む。これが非常にもったいない。本作において、金持ち連中はただヒドラの餌に甘んじているのだ。
ありがちかも知れないが、共通の敵・ヒドラに対して人間側が一時休戦し共闘する、といった展開は、人間ドラマを生み出し、本作では上っ面で終わってしまったキャラクター像を深掘りする結果に繋がったはずだ。
また、囚人側に悪玉らしい悪玉が一人しかいないのも、設定を活かしきれていないものを感じる。別にこれなら誘拐された一般人でも問題なかったし、金目当てで集められた何も知らない志願者でも良かったはずだ。
結局、金持ち側の身内を殺された設定はどこかへ行き、途中からただの悪人として描かれてしまっているのだから、ハントされる側は無垢な被害者でも大差ない。むしろ、善良な市民を嬉々として狩る金持ちが食われた方がよりスカッとしたはずだ。
そして、それでも犯罪者を獲物として選ぶなら、より凶悪な犯罪者を使い、金持ち連中ともヒドラともやり合う、ダーティな活躍を見せて欲しかった。
実は、Amazonのあらすじで主人公たちのことを「死刑囚」と表現していたために、こうした期待を持って観てしまったのだが、当てが外れてしまった。
と、期待した分(星が2以下で覚悟はしていたが)落差を感じてしまったものの、全体的には可もなく不可もない、テレビ映画産のB級映画といった内容である。星2.5くらいはあげても良い出来栄えだ。
実際、上記の金持ちによるデスゲーム✕モンスターという設定面以外でも、見所がないわけではない。科学実験の産物としてではなく、神話の存在であるヒドラを登場させているのは面白いし、ヒドラ自体のデザインも(コンピューターグラフィックスは酷いものの)、化け物じみた造形で悪くない。
だからこそ、もう少し神話ネタをほじくり返すのに時間をかけて欲しかったが、ケーブルテレビでこれを観る層の需要を考えれば、これがベストな内容なのかもしれない。
なお、同じくギリシア神話を元ネタとした映画『ケルベロス』でも、解決は伝説の剣で行われていた。銃社会であるアメリカ産ながら銃の無力さを演出し、前近代的な剣で解決を図るのは、何か銃信仰への憧れ以上のものが、ヒロイックなものに対してあるのだろうか。『コナン・ザ・グレート』的な。
おわりに
私にもし履いて捨てるほどのお金があったなら、脚本を弄ってリメイクしてみたい作品ではあるのだが、生憎私にそんなお金はないので、この映画の話はこれでお終い。
ちなみに、私が初めて観たマンハント系の映画は『サバイビング・ゲーム』という映画で、ラッパーのアイス-Tが主演を務め、金持ちの一人をルトガー・ハウアーが演じていたりする。
久々に観たいと思い調べたところ、動画配信サイトでの配信はなく、ソフト化もレーザーディスク以降していないらしい。残念この上ない。
もしどなたかこれを読んでいる大金持ちの方がいたら、『ヒドラ』のリメイクは一旦置いておいて、『サバイビング・ゲーム』のソフト化に尽力して欲しい、と無責任極まりないお願いをしたところで今回はこの辺で。
▶ヒドラ / Hydra (2009 / アメリカ)
▶監督:アンドリュー・プレンダーガスト
▶脚本:ピーター・サリヴァン、ウイリアム・ラングロス
▶製作:ダニエル・ギルボイ、リサ・ハンセン、ポール・ハーツバーグ
▶音楽:グレゴリー・トリッピ
▶出演者
ノーラン:ジョージ・スタルツ
グウェン:ドーン・オリヴィエリ
ヴァレリー:ポリー・シャノン
スウィート:マイケル・シェイマス・ワイルズ
キャムデン:アレックス・マッカーサー

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