たぶん個人的な詩情

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【映画感想】『プリンセス・ブライド・ストーリー』――孫に読み聞かせる真実の愛の物語。なぜなら、彼もまた特別な存在だからです。

プリンセス・ブライド・ストーリー [DVD]

はじめに

X(旧Twitter)を眺めていたら、クトゥルー神話研究家・森瀬繚氏のポストをたまたま目にし、見てみたのが今作『プリンセス・ブライド・ストーリー』。

調べてみると、どうもアメリカ本国ではカルト的な人気を持つ作品のようで、その証拠か、IGNがかつて行った“Top 100 MOVIE MOMENTS”なる企画では、森瀬氏も触れているスペイン人剣士ことイニゴ・モントーヤの名シーンが86位にランクインしたりしているようです。

と、前置きはこのぐらいにして以下感想を書いて行きたいと思います。

あってないようなネタバレはしていくので、気になる方はご注意を。なお、アマプラでの配信はもうすぐ終わるようなので、見たいと思っている方はお早めに。


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感想

何気ない気持ちで見始めたんですが、この映画、普通に面白かったです。「普通に」というのはディスでも何でもなく、ただただ楽しい作品という意味での「普通に」。

ものすごい傑作という訳ではないし、観て新しい発見があるわけでもない。ストーリーもどこかで見たようなものの組み合わせ。それでも、いやだからこそ(?)面白い。

人によっては単調に感じたり、安っぽいと感じてしまうかもしれませんが、自分にとってはかなり刺さる作品でした。

ストーリーは至ってシンプル。

病気でベッドで寝ている孫に、祖父が物語を読み聞かせる枠物語形式の作品で、語られるのは、中世ヨーロッパ風の世界を舞台に繰り広げられる真実の愛の物語。

死に分かれたと思い、王子と愛なき婚約を果たした農民の娘・バターカップ。王子の策略により誘拐された彼女を助けるのは、死んだと思われていた青年・ウェスリー。

放浪の果てに剣技を身に付け、恋人を取り戻すために舞い戻ったウェスリーの前に立ちはだかるいくつもの壁。果たして、二人の愛は証明されるのか…と言ったお話。

恋人を取り戻すというありがちな土台に、怪傑ゾロ的な覆面とフェンシングのデュエルを盛り付け、『ネバーエンディング・ストーリー』風のファンタジーを軽くまぶせば出来上がり。

キャラクターも真っ当な造形でオリジナリティは薄いんですが、だからこそキャラを受け入れやすいし、頭を使わずに観られるんですよね。

中でも、森瀬氏も触れていた剣士、イニゴ・モントーヤは名キャラクターで、主役を食ってしまっているレベルの大活躍。誇張抜きに、彼の存在だけでもこの映画は見る価値ありだと思います。

もちろん、真実の愛を育むウェスリーとバターカップの二人についても、応援したくなる真っすぐさが画面越しに伝わってきて良かったです。

また、この物語を語り聞かせる祖父と、次第に話に引き込まれていく孫のやり取りも心温まるものがあり、ラストのやり取りも相まって好きだったりします。祖父役のピーター・フォークもすごく良いです。

ちなみに、マニアックな所で言えば、川で姫を襲う肉食ウナギが地味に好きで、その鳴き声や造形、そもそもウナギを設定するセンスも良きだと思っています。その他、名前だけしか知らなかったアンドレ・ザ・ジャイアントを見られたのも嬉しい誤算でした。

おわりに

と言う訳で、『プリンセス・ブライド・ストーリー』の感想でした。もうすぐアマプラでの配信が終わるので、観たいと思っている方は是非是非アマプラへ。

何だか久しぶりに、映画を観てただただ楽しいと言う感情を思い出しました。映画って本当にいいもんですね。

最近、少し映画を観るペースが落ちていたので、これを機にペース高めて映画を観ていこうと思います。それにしても、自己増殖するかに見える、アマプラのウォッチリストを観終わる日は果たして来るのか……。

積読だけでなく、積み映画に絶望的な思いを馳せたところで今回はこの辺で。

ではでは。


▶プリンセス・ブライド・ストーリー / The Princess Bride (1987 / アメリカ)
▶監督:ロブ・ライナー
▶脚本:ウィリアム・ゴールドマン
▶原作:ウィリアム・ゴールドマン
▶製作:アンドリュー・シェインマン、ロブ・ライナー
▶製作総指揮:ノーマン・リア
▶音楽:マーク・ノップラー
▶撮影:エイドリアン・ビドル
▶編集:ロバート・レイトン
▶出演者
ウェスリー:ケイリー・エルウィス
バターカップロビン・ライト
イニゴ・モントーヤマンディ・パティンキン
フンパーディンク王子:クリス・サランドン
タイロン伯爵:クリストファー・ゲスト
ビジニ:ウォーレス・ショーン
フェジク:アンドレ・ザ・ジャイアント
孫:フレッド・サベージ
祖父 / ナレーター:ピーター・フォーク