たぶん個人的な詩情

本や映画の感想、TRPGとか。

たぶん個人的な詩情

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【映画感想】『人類SOS!』――盲目となった人類に襲い掛かる食肉植物の恐怖。『トリフィドの日』の映画化であるSF映画の古典。

はじめに クトゥルフ神話TRPGのサプリメントに、『マレウス・モンストロルム』というデータブックが存在する。この本は古今東西のクトゥルフ神話作品のクリーチャーデータが掲載されたサプリメントで、少々値は張るものの、基本ルールブックの神話生物を使い…

【TRPG感想】『SW2.5ショートストーリーズ 冒険者ギルドへようこそ!』――舞台はウルシラ、冒険者ギルドをフィーチャーした短編集。

はじめに 実は先日、人生で初めてファンタジー系システムのゲームマスターをしました。これまで回したそれらしいものと言えば、以前ブログで紹介した『サンサーラ・バラッド』ぐらい。こちらは異世界転生をメインに据えた少し変則的なシステムでしたし、なに…

【読書感想】バーナード・ベケット『創世の島』――ポストアポカリプスの世で少女は挑む。口頭試問と、この世界の真実に。

はじめに 語りえぬものについては、沈黙せねばならない。今回取り上げる『創世の島』も、ネタバレをしないようにし過ぎれば、語りえぬものと言っても過言ではないかも知れない。 それと言うのも、本書について語ろうとすれば、ほんの少しの匂わせや書きぶり…

【映画感想】『コルト45/孤高の天才スナイパー』――孤独な青年に付け入る魔の手。嵌められた先に待つものと彼の選択とは。

はじめに どこかの感想でも書いたのだけど、このところ通勤時にタブレットで映画を見たりしている。そういう時に見るのは決まって流し見ても良さそうな映画。というのも、大作映画をこのような形で消費してしまうのはもったいないと思ってのことだが、その結…

【今週のお題】急に休みになったとしても、きっとダラダラ過ごして日は暮れる。

今週のお題は「急に休みになったら」。学生の頃ならいざ知らず、社会人の今、もし明日会社が急に休みになったとしても、あまり明るい休日は想像できない。 例えば、明日会社が休みになるとする。きっと連絡が来るのは前日ではなく当日の朝だろう。出社前に連…

【読書感想】梅棹忠夫『知的生産の技術』――ご存知京大式カード紹介の書。実践的な技術から見えてくる普遍的な方法論は未だ現役。

はじめに 新年一発目の感想記事は、これからの一年を方向付けるものにしたいとの思いから、昨年読んでいた梅棹忠夫氏の『知的生産の技術』にしたいと思います。 こちらの本はこの手の新書の古典中の古典、岩波新書に『知的生産の技術』あり、と言っても過言…

【雑記】たった10個の新年の抱負。公の場で宣言してモチベーションを上げることを“パブリックコミットメント”と言うらしい。

はじめに 新年あけましておめでとうございます。新年早々明るくないニュースが耳に飛び込んできており、この言葉を書くべきかは悩んでしまった部分もありましたが、直接被害も受けていない人間が自粛ムードを作り過ぎるのもアレかと思い、普段通りにブログを…

【雑記】年末駆け込みブログ更新。皆さん良いお年を!

はじめに 皆様年の瀬は如何お過ごしでしょうか。私は本日家の掃除と片付けをしようと思っていたのに、普通に寝過ごし、特に何をやるでもなく今に至ってしまいました。 こういう時にテンションを下げず、切り替えていくことこそ大事。と思い立ち、机に向かっ…

【読書感想】『究極のライフル -ハイパーショット- 』――新型ライフル開発の利権に絡む陰謀と凶器不明の連続殺人を扱ったスリラーアクション小説。

はじめに 気付けば残すところあと僅かとなった2023年、今年一番耳にした楽曲を挙げるなら、私に限って言えばYOASOBIの「アイドル」になるのではないかと思う。朝の情報番組や通勤時の街頭ビジョン、立ち寄った店で流れる有線放送などなど、この曲を耳にする…

【読書感想】『読書脳 新版・読んだら忘れない読書術』――記憶に残っていない読書は意味がない。大切なのはアウトプットとスキマ時間。

はじめに 今週のお題は「最近読んでるもの」ということで、今回は最近読んだ本の中でも、特に感想を書いておきたいと思った本の感想を書いていきたいと思います。感想を書くのは自分としては珍しい選択であるビジネス書から一冊。 まず個人的な話で恐縮なん…

【映画感想】『ドラゴン・オブ・ナチス』――ナチス印の竜が宙を舞う!迎え撃つは連合国軍の飛行機乗り。起伏と厚みに欠けるが作りは丁寧なB級ドラゴン×ナチスもの。

はじめに ここ最近、通勤時と帰宅時にタブレット端末で映画を観ていたりする。これまで車内では本を読んで時間を潰していたのだけど、経験者はご存知の通り、ぎゅうぎゅうの満員電車で本を読むのは地味に面倒くさい。 それに、本を読むというのはどこまで行…

【読書感想】アシモフ『地球は空き地でいっぱい』――地球を舞台に描かれる短編17作。巨匠によるユーモアあふれた珠玉の短編集。

はじめに お恥ずかしい話、好きな本のジャンルをSFと言っておきながら、実はSFにおけるビッグ3こと、ハインライン、アシモフ、クラークの作品をほとんど読んだことがありません。 一番読んだことのあるハインラインでもせいぜい5作品ほど。アシモフに至っ…

【読書感想】『サメ映画大全』――これを読まずしてサメ映画は語れない。歴代サメ映画を網羅した評論本。カタログとしても重宝する素敵な一冊。【サメ感想④】

はじめに 現在当ブログでは「サメ企画」という企画を行っておりまして、こちらは月に一本、サメに関する映画や本などの感想を書いて行こう、というものになっています。 bine-tsu.com 詳しくは上記のブログを見ていただくとして、こちらの企画、実は7月分か…

【雑記】近況報告とか。新型コロさんに嗅覚を奪われながら、いまキーボードを打っています。

はじめに タイトル通り、新型コロさんに罹りました。人生初の罹患。この3年間、毎度それらしい徴候があるたびに抗原検査キットを持ち出しては陰性の結果を前にし、抗原検査なんて無意味なのでは、と思っていたりしましたが、罹っていればちゃんと二本の線が…

【漫画感想】『サメゾン サメとゾンビとなんでも屋①』――日本縦断を目指す少年と少女に襲いかかるはご当地サメゾンビ!?なノンストップギャグ漫画【サメ企画③】

はじめに 今や月末にサメ関連の感想を書くだけのブログになっていることに一抹の不安を感じる今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。 私は何とか元気にやっていますが、どうにもパソコンに向かう時間が取れず、このような更新頻度となっております。時…

【映画感想】『シャーコーン!/呪いのモロコシ鮫』――トウモロコシ畑に潜むサメと謎のカルト教団の暗躍。紛れもないZ級だが見所はある正統派ホラー風サメ映画【サメ企画②】

はじめに ここ最近ブログを書く手が止まっていまして、その理由については前回の記事を読んでみて欲しいんですが(大した理由ではない)、そもそもの話、あくまで趣味のブログである以上、無理して更新などする必要はぶっちゃけないんですよね。 bine-tsu.co…

【雑記】ひと月遅れの新生活とニート脱出。更新遅れの言い訳、あるいは次の記事へのクッションクッション。

はじめに。見栄えのための見出し。おわりはない 今年に入り、自分なりにはコンスタントに更新の続けられていたこのブログではありましたが、見ての通り、5月に入ってからは一つも記事を書けていない有様です。 というのも、5月からはここしばらく続けてき…

【映画感想】『元カレとツイラクだけは絶対に避けたい件』――空の密室に取り残された二人の運命やいかに。コミカルな邦題に反し中身は硬派なパニックスリラー。

あらすじ 友人の結婚式に出席するため、サラはインド洋に浮かぶ島国・モーリシャスを訪れた。そこで再会したのは、かつてこの島で気まずい別れ方をした元恋人のジャクソン。互いへの想いを秘めながら、関係を修復できずに結婚式の舞台となる島へと向かう二人…

【読書感想】スティーヴ・オルテン『メガロドン』――マリアナ海溝より蘇るは海洋史上最強の頂点捕食者。サメ小説界の『ジョーズ』(と言えるほどには面白い)。【サメ企画①】

はじめに いよいよ始まってしまったひと月一本感謝の「サメ」感想企画。詳細は下記の記事で確認いただくとして、言ってしまえば月一ペースで一年間、計十二本、サメにまつわる作品の感想を書いて行こうという企画になります。 bine-tsu.com そんな記念すべき…

【告知】ひと月一本、感謝のサメ感想投稿企画開催【サメ企画】

はじめに ここ最近、自分にしては意識の高い(?)作品の感想ばかり書いておりまして*1、その甲斐あってか、ありがたいことに先日、はてなブログのトップ、「きょうのはてなブログ」にこちらの記事が掲載されました。 bine-tsu.com その結果、普段からは考え…

【読書感想】いしかわゆき『書く習慣』――好きになれば書く習慣は身に付く。書くことの初心を思い出させてくれる一冊。

はじめに このブログを始めてから気付けば四年もの月日が経ちました。あと半月ほどすればめでたく五年。五歳が十歳、十五歳が二十歳、二十五歳が三十歳になってしまう年月と書けばこれが如何に重いものなのか実感できますね。 しかも私にとってはこれが初め…

【映画感想】『あまくない砂糖の話』――砂糖は人間をどう変えるのか。監督自ら体当たりで挑む食育ドキュメンタリー。

はじめに はてなブログの「今週のお題」は「あまい」ということで、始めに自分語りをさせていただきますと、私は甘いものが大好きです。ファミレスに行くと頼む頼まざるとに関わらず後ろのページに目を通してしまいますし、マックスコーヒーとドクターペッパ…

【読書感想】アンデシュ・ハンセン『スマホ脳』――デジタル社会に取り残された脳髄。人類はスマホに適応できたのか。

はじめに スマホに人類の脳の進化は追いついているのか。本書が全編を通して投げかけている疑問はまさしくこれだ。「スマホ脳」と言うタイトルから、私はてっきりスマホを中心としたデジタル社会の誕生によって、使用者の脳はどのように変化してきたか、そし…

【読書感想】ラング・ルイス『友だち殺し』――犯人は友人グループの中に。ほろ苦い青春小説風味のホワイダニットの佳作。

あらすじ 大学の医学部長秘書の職に就いたケイトは、前任者のガーネットが突如職を辞し大学を後にしたことを知る。若く美人であった人気者のガーネット。彼女が一言もなく姿を消した事実は、友人たちに少なからぬ衝撃を与えていた。駆け落ちしたとの心無い噂…

【映画感想】『空飛ぶ翼蛇』――怪蛇・ケツァルコアトルによる不可解な死に挑むミステリ作家。倒叙ミステリチックな珍作。

はじめに 恐竜と同じ時代を生きた空飛ぶ爬虫類、翼竜。恐竜といえばティラノサウルスであるように、多くの人が翼竜から連想するのは、長いトサカが特徴的なプテラノドンだと思われます。数々のフィクションにおいてその姿を見せてきたこの翼竜に、知名度の点…

【雑記】一か月以上更新のないブログに表示される系近況報告。ポケモンとかウマ娘とかを遊んでました。

はじめに あけましておめでとうございます。いつの間にやら年も明け、新年がさらっと始まっていたわけですが、実は一か月以上ブログの更新をさぼっていました。しれっと新しい記事を更新してリスタートしても良かったんですが、そこは新年という節目に合わせ…

【読書感想】『五つの星が列なる時』――儀式を思わせる連続殺人の目的とは。錬金術と占星術に基づく犯行とニュートンの過去が錯綜するサスペンスミステリ。

はじめに 本にしても映画にしても、まったく知らない作品と出会った時には取り合えずアマゾンで評価を覗いてしまうことがあります。レビューの星が多ければ腰を据えて挑むことができますし、少なければ肩の力を抜いて流せるわけです。 人によっては星の少な…

【読書感想】『黒いピラミッド』――呪いのアンクと黒い金字塔。呪いを解くべく赴くは始まりの地エジプト。

はじめに いつか「かつて存在した日本ホラー小説大賞」、などとわざわざ書かれてしまう時代が来るのかも知れない。既にこの賞がなくなって4年も経つことにふと思い至り、思わずそんなことを考えてしまった*1。 改めて歴代の受賞者を見てみると、まさに錚々…

【読書感想】『黄金の世界史』――金の移動と権力の移行についての見取り図。受験世界史の理解を深めるのにも役立つ一冊。

はじめに はてなブログの今週のお題は「最近おもしろかった本」とのこと。ちょうど最近読んだ本の感想を書こうと思っていた矢先に今週のお題がこれだったので、今回は便乗して今週のお題兼読書感想にしたいと思います。 感想を書いて行くのは講談社学術文庫…

【読書感想】『わかったつもり 読解力がつかない本当の原因』―― 指摘は納得。ただし本書の教えが活きる場所は教育現場に限られる気も。

はじめに 余程自分に自信があるか、他人に興味がないか、そもそも「正しさ」なんてものを信じていない人でもない限り、本読みと呼ばれる人は一度ならず自分自身の「読み」に不安を感じたことがあると思う。 それは小説しか読まない人であっても例外ではなく…