たぶん個人的な詩情

本や映画の感想、TRPGとか。

たぶん個人的な詩情

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【読書感想】『江戸文化から見る 男娼と男色の歴史』――春をひさぐ男娼「陰間」の栄光と衰退。時代劇に描かれなくとも、確かに存在した日本の歴史。

はじめに 目から鱗の落ちる音を聞いたことはないけれど、もしそんな音が聞けたとしたら、きっと小学校時代の社会の授業で私はその音を聞いただろう。 白河の清きに魚も棲みかねて もとの濁りの田沼恋しき 知っての通り、これは松平定信による寛政の改革の厳…

【映画感想】『七人の侍』――なぜ百姓は勝ち、侍は負けたのか。語るまでもない大衆娯楽の最高傑作。

はじめに 父の影響で黒澤明の映画を観て来たことは、折に触れてこのブログでも書いてきた。黒澤映画は、私が唯一観て来た日本映画だと言っても良い。とは言え、観て来たとは言っても作品の偏りは大いにあり、父お気に入りの『用心棒』などは少なく見積もって…

【読書感想】『ウロボロスの古写本』――母を誘拐されたミアは原因である謎の写本の秘密に近づいていき…。中東を舞台に繰り広げられるアクション小説。

はじめに 趣味を尋ねられた時の返答は決まっている。読書と映画感想だ。無趣味の代名詞のような二つだが、実際に趣味なのだから仕方がない。それに、最近知名度が上がってきているとは言え、TRPGを知らない人に、一からゲームについて説明をするのは面倒だ。…

【映画感想】『神様の言うとおり』――不条理系デスゲームの果てに神の子となるのは誰か。福士と神木とビー玉から目が離せない怪作。

はじめに 十人十色。 この四字熟語を知ったのは中学時代。出会いは、当時通っていた塾の階段。貼られていた塾のチラシに、この言葉が載っていた。教科単位で教える個別指導塾だったこともあり、最初は塾の造語かとすら思っていて、読み方も知らなかった。「…

【読書感想】雪富千晶紀『ブルシャーク』――富士山麓にシャーク鳴く。トライアスロン開催が迫る中、巨大ザメが湖に潜むとの情報が・・・。【サメ企画⑥】

はじめに 夏と言えばサメ。サメと言えば夏。サメは冬の季語のようですが、これは恐らく食材としてのサメ由来なのでしょう。やはり、サメが人を襲うフィクションにおいて、海水浴場とサメの組み合わせに勝るものはありません。 それもこれも、すべては『ジョ…

【映画感想】『プラネット・オブ・ピッグ 豚の惑星』――人類と豚の立場が逆転した近未来。豚人間に支配された人類の命運は、一人の男に託された。

はじめに 久しぶりにゴテゴテのB級映画を観た。思えば子供の時分、B級映画はある意味で高嶺の花だった。これらの映画は、レンタルビデオショップに並んだとしても、旧作落ちする前に店の棚から消えていく*1。 新作や準新作を何作も借りられるほど、お金に…

【読書感想】『恐怖の誕生パーティ』――偽りに彩られた夫の過去を知った時、幸せな結婚生活が崩れ始める。ヒトコワ系サスペンスホラー。

はじめに 先日のある日のこと、たまたま寄ったブックオフにて、以前より気になっていた小説を発見しました。しかも100円で。 どこでその存在を知ったのかは覚えていないものの、認知して以来、アマゾンの欲しいものリストに突っ込み、頭の片隅に残っていた本…

【資格・検定】色彩検定3級合格体験記。色彩感覚ゼロの男が3級に合格するまで。――費用・時間・勉強方法とか【難易度★☆☆☆☆】

はじめに 今年の初めに掲げた10個の抱負の一つに「資格を取る」というものがありました。言ったからにはやろうと決意を固め、まずは小手調べに色彩検定3級を受験。 bine-tsu.com 先日受験結果を確認したところ、無事合格していましたので、今回は検定合格…

【読書感想】『古代オリエントの宗教』――膨張する聖書ストーリーと土着の宗教の対抗。対立軸をもとに俯瞰する古代の宗教概説。

はじめに 本読みの特技の一つに、初めて見る本棚を前にしても、数あるタイトルの中から自分好みのキーワードを見逃さない、というものがあると思っています。 もちろん、人それぞれティンと来る言葉は異なるわけですが、私が目をやってしまうキーワードは「…

【映画感想】『ビバリーヒルズ・コップ : アクセル・フォーリー』――「またアクセルかっ!」。懐かしの面々に出会える愛に溢れた同窓会。

はじめに ドルチェ&ガッバーナの香りで在りし日の思い出が呼び覚まされる「香水」がブレイクしたのが今から5年前。光陰矢の如し。これには恐ろしさすら感じるわけですが、調べてみたところ、実際嗅覚は五感の中でも記憶に残りやすい感覚のようです。 それ…

【ブログ関連】アクセス数20ちょいの感想ブログが、アドセンスに合格するまでに意識したこと

この記事の概略 ・実はアドセンスに合格してました(2年前)・アドセンス申請前に行っていたこと・インデックス登録の重要性と対策法 はじめに 2年前のある日、起きぬけに寝ぼけ眼でスマホを操作していると、Gmailにこんな見出しのメールが届いていることに…

【読書】2024年上半期10選。SF、怪奇、推理、哲学。意外とバランスの良いラインナップ【振り返り】

はじめに 気付けば7月が始まり、今年も残すところあと半年。早いと感じる一方で、充実していたかはさておき、妥当だなと感じている自分もいます。 さて、今回はタイトル通り、上半期に読んだ本から十冊を選び、それぞれの本について軽くコメントをしていき…

【読書感想】『フランケンシュタインの子供』――メアリー・シェリーの生み出した「神話」をテーマとしたアンソロジー。死体復活、自動人形、マッドサイエンティストなどなど。

はじめに 少し前になりますが、ブックオフでこちらの二冊の本を買いました。 ふと立ち寄ったブックオフにて『ラヴクラフト恐怖の宇宙史』と『フランケンシュタインの子供』を収穫。普段は100円棚縛りを己に課しているのだが、これは流石に買ってしまった。……

【映画感想】『セーヌ川の水面の下に』――パリに現れた巨大ザメと迫るトライアスロンの開催。驚くほどに硬派な社会派サメ映画【サメ企画⑤】

はじめに 実はこのブログ、昨年の4月から「サメ企画」という感想投稿企画を独自に行っております。内容は簡単。月に一本、サメに関連した作品の感想を書こうというもので、期間は12か月。つまり一年で終わる企画なわけですが、ここで「行っておりました」と…

【映画感想】『トラペジウム』――自分本位な青春の果てに。元・乃木坂46が描く異色のアイドルアニメ。

はじめに 先日、絶賛公開中のアニメ映画『トラペジウム』を見てきました。ちょっと上野・御徒町周辺で時間を潰す必要がありまして、良い機会なので映画でも観ようと思い立ち、上映予定を勢いで調べてみたところ、ちょうどこちらの映画がヒット。 もともと、…

【読書感想】リチャード・レイモン『殺戮の〈野獣館〉』――〈野獣館〉へと挑む男を待ち受ける野獣とは。人前で好きだとは言い辛い悪趣味で最高のホラー。

はじめに 扶桑社ミステリーのホラー、『殺戮の〈野獣館〉』(以下『野獣館』)を読んだ。これは勝手な印象だが、扶桑社のホラーは他の出版社のホラーと比べ、アクの強さに定評があると思っている。ケッチャムしかり『ブッカケゾンビ』(未読)しかり。 悪趣味…

【雑記】私の思う名作映画3選。

はじめに 今週のお題は「名作」。こちらのお題について、はてなブログ公式の記事から引用してみると、 連休で時間がたくさんある方も多いはず。そんなときにチェックしておきたい、映画や本、音楽などの「名作」を思い出しておきませんか? 名作を知っておく…

【映画感想】『大蜥蜴の怪』――進撃のドクトカゲ。お粗末な撮影技術と意外と見れるドラマパートが魅力(?)な謎映画。

はじめに 小学校低学年の頃、学校の図書室でよく読んでいた漫画のシリーズがありました。その名も「学研まんがひみつシリーズ」。小学生向け学習漫画のシリーズで、恐竜や自動車といったメジャーどころだけでなく、『チューインガムのひみつ』なんていう珍し…

【読書感想】西村京太郎『幻奇島』――独自の信仰が残る孤島、御神島。左遷された医師がそこで目にするものとは――。滅亡が約束された島を巡るサスペンス。

はじめに 名前は知っていても読んだことはない。今後いつ読むのかも分からない。もしかすると死ぬまで読まずに済ませてしまうのかも知れない、そんな作家。本読みであれば誰しもそんな作家はいると思う。私にとって、西村京太郎はそんな作家の一人だった。 …

【映画感想】『人類SOS!』――盲目となった人類に襲い掛かる食肉植物の恐怖。『トリフィドの日』の映画化であるSF映画の古典。

はじめに クトゥルフ神話TRPGのサプリメントに、『マレウス・モンストロルム』というデータブックが存在する。この本は古今東西のクトゥルフ神話作品のクリーチャーデータが掲載されたサプリメントで、少々値は張るものの、基本ルールブックの神話生物を使い…

【TRPG感想】『SW2.5ショートストーリーズ 冒険者ギルドへようこそ!』――舞台はウルシラ、冒険者ギルドをフィーチャーした短編集。

はじめに 実は先日、人生で初めてファンタジー系システムのゲームマスターをしました。これまで回したそれらしいものと言えば、以前ブログで紹介した『サンサーラ・バラッド』ぐらい。こちらは異世界転生をメインに据えた少し変則的なシステムでしたし、なに…

【読書感想】バーナード・ベケット『創世の島』――ポストアポカリプスの世で少女は挑む。口頭試問と、この世界の真実に。

はじめに 語りえぬものについては、沈黙せねばならない。今回取り上げる『創世の島』も、ネタバレをしないようにし過ぎれば、語りえぬものと言っても過言ではないかも知れない。 それと言うのも、本書について語ろうとすれば、ほんの少しの匂わせや書きぶり…

【映画感想】『コルト45/孤高の天才スナイパー』――孤独な青年に付け入る魔の手。嵌められた先に待つものと彼の選択とは。

はじめに どこかの感想でも書いたのだけど、このところ通勤時にタブレットで映画を見たりしている。そういう時に見るのは決まって流し見ても良さそうな映画。というのも、大作映画をこのような形で消費してしまうのはもったいないと思ってのことだが、その結…

【今週のお題】急に休みになったとしても、きっとダラダラ過ごして日は暮れる。

今週のお題は「急に休みになったら」。学生の頃ならいざ知らず、社会人の今、もし明日会社が急に休みになったとしても、あまり明るい休日は想像できない。 例えば、明日会社が休みになるとする。きっと連絡が来るのは前日ではなく当日の朝だろう。出社前に連…

【読書感想】梅棹忠夫『知的生産の技術』――ご存知京大式カード紹介の書。実践的な技術から見えてくる普遍的な方法論は未だ現役。

はじめに 新年一発目の感想記事は、これからの一年を方向付けるものにしたいとの思いから、昨年読んでいた梅棹忠夫氏の『知的生産の技術』にしたいと思います。 こちらの本はこの手の新書の古典中の古典、岩波新書に『知的生産の技術』あり、と言っても過言…

【雑記】たった10個の新年の抱負。公の場で宣言してモチベーションを上げることを“パブリックコミットメント”と言うらしい。

はじめに 新年あけましておめでとうございます。新年早々明るくないニュースが耳に飛び込んできており、この言葉を書くべきかは悩んでしまった部分もありましたが、直接被害も受けていない人間が自粛ムードを作り過ぎるのもアレかと思い、普段通りにブログを…

【雑記】年末駆け込みブログ更新。皆さん良いお年を!

はじめに 皆様年の瀬は如何お過ごしでしょうか。私は本日家の掃除と片付けをしようと思っていたのに、普通に寝過ごし、特に何をやるでもなく今に至ってしまいました。 こういう時にテンションを下げず、切り替えていくことこそ大事。と思い立ち、机に向かっ…

【読書感想】『究極のライフル -ハイパーショット- 』――新型ライフル開発の利権に絡む陰謀と凶器不明の連続殺人を扱ったスリラーアクション小説。

はじめに 気付けば残すところあと僅かとなった2023年、今年一番耳にした楽曲を挙げるなら、私に限って言えばYOASOBIの「アイドル」になるのではないかと思う。朝の情報番組や通勤時の街頭ビジョン、立ち寄った店で流れる有線放送などなど、この曲を耳にする…

【読書感想】『読書脳 新版・読んだら忘れない読書術』――記憶に残っていない読書は意味がない。大切なのはアウトプットとスキマ時間。

はじめに 今週のお題は「最近読んでるもの」ということで、今回は最近読んだ本の中でも、特に感想を書いておきたいと思った本の感想を書いていきたいと思います。感想を書くのは自分としては珍しい選択であるビジネス書から一冊。 まず個人的な話で恐縮なん…

【映画感想】『ドラゴン・オブ・ナチス』――ナチス印の竜が宙を舞う!迎え撃つは連合国軍の飛行機乗り。起伏と厚みに欠けるが作りは丁寧なB級ドラゴン×ナチスもの。

はじめに ここ最近、通勤時と帰宅時にタブレット端末で映画を観ていたりする。これまで車内では本を読んで時間を潰していたのだけど、経験者はご存知の通り、ぎゅうぎゅうの満員電車で本を読むのは地味に面倒くさい。 それに、本を読むというのはどこまで行…