たぶん個人的な詩情

本や映画の感想、TRPGとか。

たぶん個人的な詩情

MENU

映画

【映画感想】『人類SOS!』――盲目となった人類に襲い掛かる食肉植物の恐怖。『トリフィドの日』の映画化であるSF映画の古典。

はじめに クトゥルフ神話TRPGのサプリメントに、『マレウス・モンストロルム』というデータブックが存在する。この本は古今東西のクトゥルフ神話作品のクリーチャーデータが掲載されたサプリメントで、少々値は張るものの、基本ルールブックの神話生物を使い…

【映画感想】『コルト45/孤高の天才スナイパー』――孤独な青年に付け入る魔の手。嵌められた先に待つものと彼の選択とは。

はじめに どこかの感想でも書いたのだけど、このところ通勤時にタブレットで映画を見たりしている。そういう時に見るのは決まって流し見ても良さそうな映画。というのも、大作映画をこのような形で消費してしまうのはもったいないと思ってのことだが、その結…

【映画感想】『ドラゴン・オブ・ナチス』――ナチス印の竜が宙を舞う!迎え撃つは連合国軍の飛行機乗り。起伏と厚みに欠けるが作りは丁寧なB級ドラゴン×ナチスもの。

はじめに ここ最近、通勤時と帰宅時にタブレット端末で映画を観ていたりする。これまで車内では本を読んで時間を潰していたのだけど、経験者はご存知の通り、ぎゅうぎゅうの満員電車で本を読むのは地味に面倒くさい。 それに、本を読むというのはどこまで行…

【映画感想】『シャーコーン!/呪いのモロコシ鮫』――トウモロコシ畑に潜むサメと謎のカルト教団の暗躍。紛れもないZ級だが見所はある正統派ホラー風サメ映画【サメ企画②】

はじめに ここ最近ブログを書く手が止まっていまして、その理由については前回の記事を読んでみて欲しいんですが(大した理由ではない)、そもそもの話、あくまで趣味のブログである以上、無理して更新などする必要はぶっちゃけないんですよね。 bine-tsu.co…

【映画感想】『元カレとツイラクだけは絶対に避けたい件』――空の密室に取り残された二人の運命やいかに。コミカルな邦題に反し中身は硬派なパニックスリラー。

あらすじ 友人の結婚式に出席するため、サラはインド洋に浮かぶ島国・モーリシャスを訪れた。そこで再会したのは、かつてこの島で気まずい別れ方をした元恋人のジャクソン。互いへの想いを秘めながら、関係を修復できずに結婚式の舞台となる島へと向かう二人…

【映画感想】『あまくない砂糖の話』――砂糖は人間をどう変えるのか。監督自ら体当たりで挑む食育ドキュメンタリー。

はじめに はてなブログの「今週のお題」は「あまい」ということで、始めに自分語りをさせていただきますと、私は甘いものが大好きです。ファミレスに行くと頼む頼まざるとに関わらず後ろのページに目を通してしまいますし、マックスコーヒーとドクターペッパ…

【映画感想】『空飛ぶ翼蛇』――怪蛇・ケツァルコアトルによる不可解な死に挑むミステリ作家。倒叙ミステリチックな珍作。

はじめに 恐竜と同じ時代を生きた空飛ぶ爬虫類、翼竜。恐竜といえばティラノサウルスであるように、多くの人が翼竜から連想するのは、長いトサカが特徴的なプテラノドンだと思われます。数々のフィクションにおいてその姿を見せてきたこの翼竜に、知名度の点…

【映画感想】『ディアルガVSパルキアVSダークライ』――街を想うヒロインとダークライ。少女漫画的三角形。

はじめに 前回、前々回に引き続き、今回も25周年ポケモン映画祭より『ディアルガVSパルキアVSダークライ』の感想です。実は再上映後すぐ観に行ってはいたんですが、更新は伸びに伸び今に至る体たらく。 bine-tsu.com bine-tsu.com 言い訳をさせてもらうと、…

【映画感想】『七夜の願い星 ジラーチ』――出会いと別れ。少年の成長とロードムービーに愛を添えて。

はじめに 先日に引き続き25周年ポケモン映画祭に行ってきました。今回は『ルビー・サファイア』の幻のポケモン、ジラーチをフィーチャーした『七夜の願い星』の感想です。 bine-tsu.com 観に行ったのはゴジラがそびえることでお馴染みのTOHOシネマズ新宿。…

【映画感想】『水の都の護神 ラティアスとラティオス』―― 美しい街、ひと夏の思い出。ボーイ・ミーツ・ガールを描き切った傑作。

はじめに 暑さとせつなさと忙しさとにやられ、先月はなんと一つも記事を更新していないという体たらく。ここ最近も体調不良が続いていたりと状況はあまり良くないんですが、夏はポケモンということで「25周年ポケモン映画祭」に行ってきました。 www.pokemon…

【映画感想】『エクスクロス 魔境伝説』―― 寒村を訪れた女子大生に迫る魔の手。ホラーの皮を被ったガールズアクションの怪作。

はじめに ここのところジェネレーションギャップを感じる機会が頓に増えた。先日もYoutube か何かのコメント欄で「『絶対防衛レヴィアタン』*1の頃から早見沙織さんを知ってるけど」との少々香ばしいコメントを見かけた。 絶対防衛レヴィアタン 第1巻(初回限…

【映画感想】『犬鳴村』――『呪怨』の監督が都市伝説を映画化。犬鳴村にまつわる血の物語。これは果たしてホラーかあるいは……。

はじめに 下記の記事でも触れていますが、実は国産のホラーに耐性がなく、これまでほとんど読んだり見たりしたことがありません。『リング』のようなフィクショナルな作品ならまだ良いんですが、実録系のやつはもう苦手も苦手。実際の心霊スポットなんかに行…

【映画感想】『必殺!恐竜神父』――「恐竜の力を得た神父が悪のニンジャ軍団と戦うアクション映画」の皮を被ったコメディ映画。

あらすじ 神父として神に仕えてきたダグ・ジョーンズは、不幸にも目の前で両親を自動車事故で失ってしまう。失意の中、同僚の勧めで旅へと出た彼は、神に見放された地・中国にて忍者に追跡されていた女性と出会い、彼女から爪の化石を託される。 その化石で…

【映画感想】『ゾンビーバー』――齧る、引っ掻く、叩き付ける。B級と侮る勿れ、ゾンビが“ビーバー”であることをフィーチャーしたコメディホラーの佳作。

はじめに 先日ふとテレビを見ていたところ、「動物園にて保管している餌のニンジンが知らぬ間に減っている」とのニュースが流れていました。部屋の鍵はかけているのに何故、と言ったところで、まさかの犯人は以下の動画から。 www.youtube.com 鍵を器用に開…

【映画感想】『魔の谷』――雪山にて強盗犯を襲う恐怖を描いたモンテ・カルマン監督デビュー作。クライムサスペンス、蜘蛛の化け物ホラー風味。

はじめに かのロジャー・コーマンの弟であるジーン・コーマンが制作、兄・ロジャーが制作総指揮を務めた映画『魔の谷』を観る。寡聞にして知らなかったが、監督のモンテ・ヘルマンは知る人ぞ知る監督らしく、『断絶』などの作品を撮ったことで知られる他、タ…

【映画感想】『ヒトラーを殺し、その後ビッグフットを殺した男』――タイトルに偽りなし(だが)ナチもビッグフットもおまけでヒューマンドラマが魅力の怪作。

感想 アマプラにて『ヒトラーを殺し、その後ビッグフットを殺した男』を観た。なんとも奇妙な映画を観てしまった、と言うのが見終わった後に抱いた率直な感想だ。 www.youtube.com 世に蔓延るB級(あるいはZ級)映画――例えば首が何本もあるサメの映画――な…

【映画】『禁断の惑星』――すべてのSF映画は本作に通ず(?)な古典的傑作SF。

先日、BSプレミアムで放送されていた『禁じられた惑星』を見ました。「お噂はかねがね…」と言った感じで、存在は知っていたものの見たことがなかった本作、特段事前知識も入れずに軽い気持ちで見始めたわけですが、これがまた面白かった。 いや、面白かっ…

【映画】ブレイン・ゲーム――命の問題を扱ったヒューマンドラマ。役者の名演と映像演出が光る。

世の多くの人の例に漏れず、アンソニー・ホプキンスと聞くとハンニバル・レクター*1を連想してしまう私。何だか申し訳なさも感じますが、どうしてもファーストインプレッションの印象はぬぐえず、未だにこのありさまだったりします。 映画『ブレイン・ゲーム…

映画:『ミッション:8ミニッツ』――8分間を繰り返せ。ヒューマンドラマが光る傑作SF。

昨日テレビ東京を点けていたら、我らが午後ローで本作が流れ始めたので視聴。劇場公開時に宣伝を見ていて、面白そうだなあと思っていた作品だけにちょっと得した気分です。何でもこれが地上波初放送なんだとか。 \ミッションに隠された本当の真実とは…⚠/ …

【映画感想】『コンスタンティン』――天使と悪魔とキアヌ・リーブス。厨二病患者は見逃すべからずアクション映画。

今週のお題は「最近見た映画」とのことなので、今回は昨日アマプラで見たキアヌ・リーヴス主演の厨二病御用達アクション映画、『コンスタンティン』の感想をば書いていきたいと思います。 本作が公開されたのは2005年。子供ながら(だからこそ?)に格好いい…

【映画感想】『天使の処刑人 バイオレット&デイジー』――少女から大人へ。人として人を殺すと言うこと。

創作にばかり触れていると、つい人の命の重さを忘れそうになる時がある。主人公の放った銃弾に倒れる敵。天変地異に巻き込まれ、数字で処理されてしまう被災者。ファーストネームだけが設定され、早々に退場する仲間A……。 映画においては端役に過ぎない役割…

映画:『スクリーム・オブ・バンシー~殺戮の妖精~』――現代に蘇る泣き女の恐怖。

B級映画に対して減点方式の評価を下すのはナンセンスだ。もしそんな基準を設けてしまえば、大半の映画は見終わるまでに持ち点が残っていないだろうし、かろうじて残っていたとしても、その数字から当の作品の魅力は伝わってこないだろう。 やはりこの手の映…

映画:『エアフォース・ワン』――大統領vsテロリスト、機上の戦い。

大統領専用機エアフォースワン*1がテロリストによってジャックされた。犯人の要求はただ一つ。米露が共同で拘束した独裁者の解放。妻子を人質に取られ、ただ一人テロリストに立ち向かうこととなったハリソン・フォード演じる大統領は、果たして家族を救い出…

映画:『遊星からの物体X』――見えない恐怖、内なる恐怖。

5月21日、政府は京都、大阪、兵庫の関西3府県における緊急事態宣言を解除した。感染状況などを踏まえてとは言え、首都圏4都県と北海道についても全面解除する方針を見せ始めている。ようやく出口が見え始めたようにも思えるが、相も変わらず、予断を許さな…

映画:『地獄の黙示録 ファイナル・カット』――ここが終着点。

不要不急の外出は避けるように。そんなお達しが厚生労働省からあったわけですが、流石にこれを見逃したら悔いが残ると思い、先日映画館へ行ってまいりました。 場所はTOHOシネマズ新宿。平日の昼間とあって人は少なめかと思いきや、思いのほか人が多く、中で…

【映画感想】『ハウスシャーク』――最低で最高の馬鹿サメ映画。家に出没するサメ退治に奔走する男たちを描いた痛快(?)コメディ。

はじめに B級映画の代名詞、サメ。出来不出来はさておき、多くのサメ映画がパニック映画としての矜持を持って作られる中、今回感想を書いて行く『ハウス・シャーク』は、そんな申し訳程度のパニック要素を排し、最初から笑いに舵を取っている意欲作です。 …

映画:『悪魔の毒々パーティ』――プロムの晩にゾンビと戦う高校生、B級青春ゾンビ映画の傑作。

アメリカ映画を観ていると度々目にするプロムなるパーティ。私などはプロムがないと言うだけで日本に生まれたことに感謝したくなる*1わけですが、フィクションの題材として観るのは割と好きだったりします*2。 本作はそんなプロムにそれぞれの事情から参加で…

映画:IMAXで『ブレードランナー ファイナル・カット』――最高の映画を劇場で観られる歓び

この記念すべき年*1に『ブレードランナー』を劇場で観られる。そのことを知ったのは二か月ほど前のことで、時期が来たら行くだろうと思いつつ、思い出したのは公開終了も間近に迫ったつい先日のことでした。 映画『ブレードランナー ファイナル・カット』予…

映画:『そして誰もいなくなった』(1945) ――それはまるで上品な喜劇のような。傑作ミステリの戯曲版を映画化。

アマプラにて『そして誰もいなくなった』を視聴。言わずと知れたアガサ・クリスティの同名作品を原作とした本作、原作は読んだことがあったものの、犯人と結末しか覚えていなかったこともあり、新鮮な気持ちで見ることが出来ました。 緊張感を保ちつつ、それ…

【映画感想】『パニック・マーケット』――サメ×スーパーマーケット=サメ映画らしからぬ面白さ!

“スーパーマーケットで繰り広げられるサメとの死闘”。この言葉を聞いて興味を引かれた者は幸いである。『パニック・マーケット』はその人たちのものである。 若手イケメン俳優ゼイヴィア・サミュエル主演!大洪水に飲み込まれた一軒のスーパーマーケットに閉…