たぶん個人的な詩情

本や映画の感想、TRPGとか。

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読書-小説-SF

【読書感想】バーナード・ベケット『創世の島』――ポストアポカリプスの世で少女は挑む。口頭試問と、この世界の真実に。

はじめに 語りえぬものについては、沈黙せねばならない。今回取り上げる『創世の島』も、ネタバレをしないようにし過ぎれば、語りえぬものと言っても過言ではないかも知れない。 それと言うのも、本書について語ろうとすれば、ほんの少しの匂わせや書きぶり…

【読書感想】アシモフ『地球は空き地でいっぱい』――地球を舞台に描かれる短編17作。巨匠によるユーモアあふれた珠玉の短編集。

はじめに お恥ずかしい話、好きな本のジャンルをSFと言っておきながら、実はSFにおけるビッグ3こと、ハインライン、アシモフ、クラークの作品をほとんど読んだことがありません。 一番読んだことのあるハインラインでもせいぜい5作品ほど。アシモフに至っ…

【読書感想】スティーヴ・オルテン『メガロドン』――マリアナ海溝より蘇るは海洋史上最強の頂点捕食者。サメ小説界の『ジョーズ』(と言えるほどには面白い)。【サメ企画①】

はじめに いよいよ始まってしまったひと月一本感謝の「サメ」感想企画。詳細は下記の記事で確認いただくとして、言ってしまえば月一ペースで一年間、計十二本、サメにまつわる作品の感想を書いて行こうという企画になります。 bine-tsu.com そんな記念すべき…

【読書感想】シモン・ニューコム「暗黒星」――暗黒星がもたらす人類の終末。科学者らしい客観的な筆致と、涙香による味わい深い翻訳が魅力の破滅ものSF。

はじめに ここ数週間、長年ほったらかしていた部屋の掃除に手を出していまして、部屋はちょっとずつ片付いて来たものの、喉をやられて今も絶賛体調崩し中。ブログの更新が疎かになっているのもそれが原因の一つだったりします。 まあその甲斐あってか、長年…

【読書感想】ウィリアム・シャトナー『電脳麻薬ハンター』――舞台は電脳麻薬蔓延る近未来。タレント本とは思えない普通に面白いハードボイルドSF活劇小説。

はじめに 時は先月に遡る。ツイッターにて下記の呟きを見た時、不謹慎ながら、デフォレスト・ケリーやレナード・ニモイらに続き、ついにその時が来たのかと思ってしまった。 BBCニュース - 「スター・トレック」のキャプテン・カーク俳優シャトナーさん、宇…

【読書感想】『フラグメント 超進化生物の島』5億年の時を超えて人類の前に立ち現れた絶海の孤島。壮絶な生態系に興奮間違いなしの思弁進化系パニックSF。

あらすじ 一年に渡って世界の海を航海し、知られざる自然や生物を紹介しつつ、クルーたちの人間模様を放送するリアリティ番組「シーライフ」。放送開始当初は視聴率を稼ぐ人気番組だったが、ここ最近は天候不順のために思うような画が取れず、一月経った今と…

【読書感想】十三不搭『ヴィンダウス・エンジン』――動かないものが見えなくなる病を克服した主人公がサイバー都市・成都で繰り広げる痛快アクション。

第8回ハヤカワSFコンテストにて優秀賞を受賞した『ヴィンダウス・エンジン』を読んだ。毎年『SFが読みたい!』を読みつつも、その都度話に付いていけていない人間からすれば、ここ数年の内に発売されたSFを読んでいると言うのは非常に珍しい。 とは言…

【読書】J・T・ブラナン『神の起源』――死体、南極、4万年前。世界規模の陰謀を巡るSF風スリラー小説。

南極で未知の繊維製の服を着た死体を発見したNASAの研究チーム。死体の眠っていた断層から、死体はおよそ4万年前のものだと判明。早速上司に報告するが、一方でそれを盗聴する謎の組織が存在した。 死体は軍によって回収され、急遽帰途に就くこととなったチ…

読書:アーサー・C・クラーク『2001年宇宙の旅』神への理性的アプローチ。知的興奮間違いなしの傑作。

先日、ユタ州の砂漠にて奇妙なものが発見されたと言うニュースが話題となった。それは何と、映画『2001年宇宙の旅』に登場する謎の石柱状の物体、モノリスを彷彿とさせるオブジェクトであったのだ。 公安局はこれについて「許可なしに連邦当局の管理する公有…