読書-小説
はじめに 趣味を尋ねられた時の返答は決まっている。読書と映画感想だ。無趣味の代名詞のような二つだが、実際に趣味なのだから仕方がない。それに、最近知名度が上がってきているとは言え、TRPGを知らない人に、一からゲームについて説明をするのは面倒だ。…
はじめに 扶桑社ミステリーのホラー、『殺戮の〈野獣館〉』(以下『野獣館』)を読んだ。これは勝手な印象だが、扶桑社のホラーは他の出版社のホラーと比べ、アクの強さに定評があると思っている。ケッチャムしかり『ブッカケゾンビ』(未読)しかり。 悪趣味…
はじめに 名前は知っていても読んだことはない。今後いつ読むのかも分からない。もしかすると死ぬまで読まずに済ませてしまうのかも知れない、そんな作家。本読みであれば誰しもそんな作家はいると思う。私にとって、西村京太郎はそんな作家の一人だった。 …
はじめに 実は先日、人生で初めてファンタジー系システムのゲームマスターをしました。これまで回したそれらしいものと言えば、以前ブログで紹介した『サンサーラ・バラッド』ぐらい。こちらは異世界転生をメインに据えた少し変則的なシステムでしたし、なに…
はじめに 語りえぬものについては、沈黙せねばならない。今回取り上げる『創世の島』も、ネタバレをしないようにし過ぎれば、語りえぬものと言っても過言ではないかも知れない。 それと言うのも、本書について語ろうとすれば、ほんの少しの匂わせや書きぶり…
はじめに 気付けば残すところあと僅かとなった2023年、今年一番耳にした楽曲を挙げるなら、私に限って言えばYOASOBIの「アイドル」になるのではないかと思う。朝の情報番組や通勤時の街頭ビジョン、立ち寄った店で流れる有線放送などなど、この曲を耳にする…
はじめに いよいよ始まってしまったひと月一本感謝の「サメ」感想企画。詳細は下記の記事で確認いただくとして、言ってしまえば月一ペースで一年間、計十二本、サメにまつわる作品の感想を書いて行こうという企画になります。 bine-tsu.com そんな記念すべき…
あらすじ 大学の医学部長秘書の職に就いたケイトは、前任者のガーネットが突如職を辞し大学を後にしたことを知る。若く美人であった人気者のガーネット。彼女が一言もなく姿を消した事実は、友人たちに少なからぬ衝撃を与えていた。駆け落ちしたとの心無い噂…
はじめに 本にしても映画にしても、まったく知らない作品と出会った時には取り合えずアマゾンで評価を覗いてしまうことがあります。レビューの星が多ければ腰を据えて挑むことができますし、少なければ肩の力を抜いて流せるわけです。 人によっては星の少な…
はじめに いつか「かつて存在した日本ホラー小説大賞」、などとわざわざ書かれてしまう時代が来るのかも知れない。既にこの賞がなくなって4年も経つことにふと思い至り、思わずそんなことを考えてしまった*1。 改めて歴代の受賞者を見てみると、まさに錚々…
はじめに 私事ではありますが、生まれてこの方、転校を経験したことがありません。これが幸だと感じるのは、転校未経験による怖さ故か、あるいは幼少期より母から転勤族の苦労を聞かされてきたからか。何にせよ、転校が大変であることは間違いないでしょう。…
はじめに 世界一有名な探偵とは誰か。個人的な好みを抜きにするならば、この問いに対して多くの方がシャーロック・ホームズと答えるのではないでしょうか。それを裏付けるかのように、名探偵の代名詞である彼をオマージュした作品やパスティーシュ、パロディ…
はじめに 気付けば前回の更新から2ヶ月ほど更新が途絶えていたこのブログ。Twitterの更新もほぼ止まり、周りからすれば生きているのか死んでいるのか分からないような有様でしたが、実際は特に何事もなく、健康このうえなく日々の生活を送っていました。 で…
はじめに いつの間にか新年を迎えてしまった今日この頃、皆さんは如何お過ごしでしょうか。自分などは文字通り寝正月と言った有様で、あまり正月らしいことは出来ておらず、やっていたことと言えば本を読むことぐらい。 しかも別に冬や正月にちなんだ本でも…
はじめに 時は先月に遡る。ツイッターにて下記の呟きを見た時、不謹慎ながら、デフォレスト・ケリーやレナード・ニモイらに続き、ついにその時が来たのかと思ってしまった。 BBCニュース - 「スター・トレック」のキャプテン・カーク俳優シャトナーさん、宇…
あらすじ ナイジェリア最大の都市ラゴス。そこで暮らす看護師のコレデはある日、妹からの電話に頭を抱えることとなる。「ねえコレデ、殺しちゃった」と。「そんなセリフ、二度と聞きたくなかったのに」。 妹のアヨオラが彼氏を殺すのはこれで3人目。美人で…
あらすじ 一年に渡って世界の海を航海し、知られざる自然や生物を紹介しつつ、クルーたちの人間模様を放送するリアリティ番組「シーライフ」。放送開始当初は視聴率を稼ぐ人気番組だったが、ここ最近は天候不順のために思うような画が取れず、一月経った今と…
第8回ハヤカワSFコンテストにて優秀賞を受賞した『ヴィンダウス・エンジン』を読んだ。毎年『SFが読みたい!』を読みつつも、その都度話に付いていけていない人間からすれば、ここ数年の内に発売されたSFを読んでいると言うのは非常に珍しい。 とは言…
はじめに タイトルとあらすじに惹かれてスティーヴン・ローズの『スペクター』を読んだ。誤解を恐れずに書けば本作はファストフードのような小説だ。手軽に読めてなおかつ面白い。そして読み始めたら最後、味を吟味するような間は与えられず、気付けば最後ま…
サスペンスの由来は英語の suspend(=宙吊り)に由来していると言う。観客の心を不安定なまま宙吊りにして物語が進行することからの連想だろうが、そうした作品では観客を宙吊るために引きとなる謎ないし展開を用意し、飽きさせないよう工夫を凝らす。 そし…
はじめに クトゥルフ神話初心者にどの一冊を勧めるか。この問題については読者各人それぞれご意見をお持ちのことだと思います。私自身この問題については長年聞かれてもいないのに考えてきました。 創元推理文庫の『ラヴクラフト全集』は初版の刊行から50…
暦を見れば8月も既に半分が過ぎ、気付けばお盆も終わっていた。海外においてゴーストストーリーが冬の風物詩なのに対し、日本の怪談の季節と言えば夏をおいて他にはない。下記の記事によれば「涼み芝居」と称して幽霊の出る演目を歌舞伎で上演したのが夏に…
はじめに 山椒魚を扱った小説と言うと、まず井伏鱒二の「山椒魚」が頭に浮かぶ。岩屋から出られなくなった山椒魚の悲嘆を描いた作品だが、実際本作の感想の中にも、井伏のものと勘違いして読んでしまったとの感想をよく見かける。 またこちらは未読だが、ア…
スマホに入れていたキンドルのアプリを数カ月ぶりに開いてみたところ、見慣れぬ作品がライブラリからこちらを見ていた。サムネを見る限り、どうやら青空文庫の一冊のようだが、ダウンロードした覚えはない。 いや、それはいささか誇張してしまった。記憶は不…
はじめに 一昔前のライトノベルを読んでいると、続編や結末が描かれないままに終わりを迎えてしまった作品と出会うことがままあります。それが打ち切りに値する程度の作品だと断じてしまえるのなら話は簡単なんですが、打ち切られたことに一抹の寂しさを感じ…
多種多様。角川ホラー文庫に対するイメージはまさにこの言葉に尽きます。ラノベ調の軽めのものから日本を代表する硬派なホラーまでより取り見取り。ホラー系の作品が読みたい時、取り合えず選択肢に挙がるレーベル。それが角川ホラー文庫だと思います。 で、…
いつぞやの「午後のロードショー」にて、フランス制作のサスペンス映画、『クリムゾン・リバー』を見ました。舞台はアルプスの麓にある大学町ゲルノン。そこで発見された他殺遺体は拷問され、そのうえで目玉がくり抜かれていた。 場違いな猟奇殺人犯を捕まえ…
南極で未知の繊維製の服を着た死体を発見したNASAの研究チーム。死体の眠っていた断層から、死体はおよそ4万年前のものだと判明。早速上司に報告するが、一方でそれを盗聴する謎の組織が存在した。 死体は軍によって回収され、急遽帰途に就くこととなったチ…
はじめに 久しぶりにダン・ブラウンを読んだ。彼の作品の面白さは、その息もつかせぬスピーディな展開と、読者の知的好奇心をくすぐる数々の蘊蓄、旅行欲を掻き立てる芸術や街並み、建造物の描写にあると思う。静と動、この二つを共存させるバランス感覚は素…
先日、ユタ州の砂漠にて奇妙なものが発見されたと言うニュースが話題となった。それは何と、映画『2001年宇宙の旅』に登場する謎の石柱状の物体、モノリスを彷彿とさせるオブジェクトであったのだ。 公安局はこれについて「許可なしに連邦当局の管理する公有…