たぶん個人的な詩情

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【映画感想】『ゾンビーバー』――齧る、引っ掻く、叩き付ける。B級と侮る勿れ、ゾンビが“ビーバー”であることをフィーチャーしたコメディホラーの佳作。

はじめに

先日ふとテレビを見ていたところ、「動物園にて保管している餌のニンジンが知らぬ間に減っている」とのニュースが流れていました。部屋の鍵はかけているのに何故、と言ったところで、まさかの犯人は以下の動画から。


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鍵を器用に開けるでっぷりとした母親ビーバー。子どものために餌を盗み出す母の強さに心打たれ、その愛くるしい(?)姿に癒される一方、そんなビーバーを見ていてふとあることを思い出しました。

そう言えば、あの映画をまだ見ていなかった、と。

その映画とは、かつて一部の映画館で公開しており、見に行こうとは思っていたものの、結局時間が取れずに公開が終わってしまったホラー映画。その名も『ゾンビーバー』。


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知る人ぞ知るこちらのホラー映画、調べてみるとアマプラにて見られるようだったので早速見てみることに。タイトル通り、ゾンビとなったビーバーが襲い来るパニックホラーであり、はっきり言って人を選ぶ類の作品ではありますが、個人的には中々楽しめました。

今回はそんなホラーともコメディともつかない不思議な映画の感想です。

感想

川に流れ着いた汚染廃棄物によってゾンビと化したビーバーが、セックスと猥談に明け暮れるバカップル共を襲うといった内容の本作『ゾンビーバー』は、題名とパッケージの期待を裏切らないB級臭芬々たるB級映画です。

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本作の良さはこの手のホラーを戯画化し尽くしたありがちな展開の連続と、しっかりと作り込まれたゾンビーバーのパペット、そして何よりビーバーであることにこだわり抜いたゾンビたちの多彩な攻撃方法だと思います。

特にこのビーバーらしさを活かした襲撃方法の数々は素晴らしいの一言。湖にて襲われた際に上り込んだ木製の浮き台を持ち前の前歯で抉り抜き、立て籠もった家の材木を食い破る。木を齧り倒して車での退路を断ち、人間を圧殺する手腕は感動すら覚えます。

またゾンビものではお馴染みの感染してゾンビとなる人間と言う演出、当然本作でもあるわけですが、感染した人間の姿が独特でこれがまた面白い。ゾンビに噛まれればゾンビになるのは周知の事実。では、ゾンビーバーに噛まれたら……。これは実際に見て欲しいので多くは語りませんが、感染者の特殊メイクと演技の力の入れようは一見の価値ありです。

ただしジャンルとしては、ホラーと言うよりかは馬鹿馬鹿しいネタとブラックユーモア満載のコメディのような作品なのでその点はご了承を。とは言え、ホラーの定番ネタをパロった笑いも多いので、ホラー好きこそ楽しめる作品のように思います。実際、下記の監督へのインタビュー記事にもある通り、本作は真面目にホラーを作ろうとした結果の作品でもあるため、抑えるべきところは抑えている正統派のホラーとしても楽しめます。特に終盤の怒涛の展開は見応え抜群。

horror2.jp

先にも書いた通り、人を選ぶタイプの作品ではありますが、90分もない短い映画なので興味があれば是非とも見て欲しいと思います。ちなみに本作は結構ゴア表現も多く、エロ描写もふんだんなので、テキトーなB級サメ映画なんかを見る感覚で人と見ようと思っている場合はご注意ください。

おわりに

と言う訳で『ゾンビーバー』の感想でした。長年見たいと思っていた作品を手軽に観ることが出来るのはアマプラの良いところですね。

ちなみに、この手の笑いが好きなら『ハウスシャーク』もきっとお気に召すはず。こちらはB級パニックの皮を被ったコメディ映画でして、さらに馬鹿馬鹿しく、クオリティはさらに低いと言う凄まじい作品なんですが、時間が有り余っているなら、騙されたと思ってこちらも見て欲しいと思います。

bine-tsu.com

では最後に、本作で大好きな台詞を一つ。

「あなたも今にビーバーになる」

▶ゾンビーバー ( Zombeavers / 2014 アメリカ)
▶監督:ジョーダン・ルービン
▶制作:クリス・ベンダー、J・C・スピンク、エヴァン・アストロフスキー
▶制作総指揮:セオドール・ミラー
▶脚本:ジョーダン・ルービン、ジョン・カプラン&アル・カプラン
▶撮影:ジョナサン・ホール
▶編集:エド・マークス
▶美術:フレデリック・ワッフ
▶音楽:ジョン・カプラン&アル・カプラン
▶キャスト:
メアリー:レイチェル・メルヴィン
ゾーイ:コートニー・パーム
ジェン:レクシー・アトキンス
サム:ハッチ・ダーノ
トミー:ジェイク・ウィアリー
バック:ピーター・ギルロイ
スミス:レックス・リン