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【TRPG】『異世界転生RPG サンサーラ・バラッド』、プレイヤーズルールブックで遊んでみた感想。

このブログ、普段は本や映画の感想ばかり書いているんですが、実はTRPGについても扱おうと思っていまして、ブログの説明欄にも「TRPGとか」なんとか書いてあるんですよね。とは言うものの、恥ずかしながら今回が当ブログ初のTRPG記事となります*1

ちなみに、この記事ではTRPGについての説明を省いてしまうので、TRPGに興味があるのによく知らない、と言う方はぜひ各自で調べてみてください。きっと新しい扉が開かれるはずです。

はじめに

さて、今回はタイトルの通り『異世界転生RPGサンサーラ・バラッド』を遊んでみた感想を書いて行こうと思います。この『サンサーラ・バラッド』は昨年末に発売された新しめのシステムでして、テーマは最近流行りの「異世界転生」*2

異世界転生とは言っても、ただ洋風の異世界を舞台とするのではなく、「転生」に着目し用語をインド風に統一しているのには製作者のこだわりを感じますね。例を挙げれば、転生者であるPC達がサンサーラと呼ばれる他、彼らの持つ固有の力・チートを使うために集めるリソースはカルマと呼ばれていたりします。とは言え、用語を除けば一般的な洋風ファンタジー*3と変わらないので、その辺りに苦手意識があってもご安心を。

書き始めたらとても長くなってしまったので、雑感を置いておくとこんな感じです。

システムの雑感

・手軽に異世界転生気分を味わえる

・無理なくロールプレイを楽しめる

・多種多様なチートとスキルで理想のキャラビルドができる……はず*4

改めて後述しますが、ロールプレイがリソースの確保に繋がっていることで、自然とロールプレイが出来るようになっていたのはとても良かったです。転生者であるだけに、他のファンタジー系のシステムでロールプレイするのとはまた違った面白さがありました。

ちなみに、私が遊んだ環境は以下のような感じでしたので、記事を読んでいく上での参考になればと思います。

遊んだ環境

・GM一人、PL二人

・筆者はPLとして参加

・オフラインセッション(2月某日)

・プレイヤーズルールブック掲載シナリオ

・PCはルールブック掲載のクイックスタートを使用

では前置きはこのぐらいにして、早速本題に入っていきたいと思いますが、これらはあくまで個人の感想です。またルール等への誤解・勘違いがあるかも知れません。その点ご注意ください。

サンサーラ・バラッドとは

先にも書いた通り『サンサーラ・バラッド』は昨年末に発売された新システムです。制作は「NEW GAME PLUS」。公式HPのサークル情報によれば、若手ゲームデザイナーを中心に結成された制作団体とのこと*5。寡聞にして知らなかったのですが、昨年発売されていた『呪印感染』などもここの制作のようですね。


『異世界転生RPG サンサーラ・バラッド』紹介PV

で、今回扱っていく『サンサーラ・バラッド』は、異世界転生をモチーフとしたファンタジー系のシステムです。プレイヤーは地球で命を落とし、異世界イラで生まれ変わった転生者・サンサーラとなり、持ち前のチートとスキルを用いてイラを救うために奮闘することとなります。

彼らを異世界へと転生させた上位存在・真如(タタ)の命の元、イラの破滅を目論む天魔(デーヴァ)とその眷属の企みを阻止する、と言うのがセッションの大まかな流れです。

ちなみに転生したサンサーラは、改めてイラの世界に赤子として生まれ直すか、地球での姿のまま転生するかを選ぶことが出来ます。地味に思われるかもしれませんが、転生をモチーフとしたシステムで、この二択を選べるのは大きいですよね。キャクターの造形に深く関わる要素ですし、ロールプレイの幅にも繋がるはずです。

プレイヤーズルールブックでも十分楽しめる

今回はタイトルの通り『サンサーラ・バラッド』の「プレイヤーズルールブック」を使って遊んでみました。名前に「プレイヤーズ」と書かれているため分かり辛いですが、サンプルシナリオが収録されていることからも分かる通り、最低限この一冊だけでセッションを楽しむことが出来るようになっています。

異世界転生RPG サンサーラ・バラッド プレイヤーズルールブック (Role & Roll Books)
 

その証拠に、Role&Rollのの商品説明にも「「プレイヤーズ」と銘打たれているが、これだけでもデータは少ないものの、ゲームマスターとして遊べるぞ*6と書かれているんですよね。実は私たちもこのシステムを遊ぶにあたって「基本ルールブック」が必要なのか分からず困っていたため、この点については分かりやすい記載がAmazonなどにあればとも思います

分厚い「基本ルールブック」との違いはあくまでデータ量であって、お試しで遊ぶにはこの本だけで十分でしょう。巻頭にリプレイも掲載されており、読み物として楽しめるだけでなく、プレイの参考にもなるのは良いですよね。リプレイを併載するタイプのルールブックはお得感があって好きです。

またデータは少ないものの、敵データや冒険することとなるイラの世界観についての資料も掲載されているため、GMとしてシナリオ*7を作ることも可能だと思います。実際、本書にはシナリオの書き方の指針も掲載されていたりします。

とは言え、本格的に遊ぶ場合は基本ルールブックが必要でしょう。PC作成に関わるデータはもちろんのこと、イラの世界におけるNPC一覧も乗っていますし、シナリオを作る助けとなるはずです。

システムについて

本作『サンサーラ・バラッド』はシーン制を採用しているシステムとなっています。全体は大きく分けて「プロローグ」「チャプター」「エピローグ」の三つに分かれており、さらにこのチャプターが複数のピリオドから構成されています。

大まかな構成

■プロローグ

■チャプター

・ピリオド1

・ピリオド2

・ピリオド……

■エピローグ

プロローグでは今回のセッションの大まかな目的――例えば「ある町に危機が訪れるのでそれを防いで欲しい」――が真如によって告げられるとともに、サンサーラとなったPC達の顔合わせをし、エピローグではシナリオの結末やPCの後日談を演出することとなります。

そしてこのプロローグとエピローグに挟まれたチャプターでは、事件解決のための情報収集や戦闘を行っていきます。他のシステムで言うところのメインフェイズ+クライマックスフェイズと考えてもらって差し支えないでしょう。

チャプターを構成するピリオド数はシナリオ開始時点で決まっており、PC達は限られた行動回数の中で問題の解決とリソースの確保を目指すこととなります。こうしたピリオドにおける仕様は、『艦これRPG』を始めとする冒険企画局のシステムに近いかも知れません。 

ちなみに判定は10面を二つを用いたD100の下方判定。中でも「スワップロール」と言うルールが採用されているのが特徴的だと思います。これは「習熟」*8している行為の判定において、出た目の十の位と一の位を引っくり返して扱えるルールのことを指します。例えば、75以下で成功の場合に85が出てしまっても、58と読み替えて成功にすることが出来ると言うわけです。得意な分野で活躍し易くなっているこうした仕様は、強キャラ感を演出したいこのシステムにはぴったりだと思います。

以上、大まかなシステムの説明をしてきましたが、以下具体的に面白かったルールについて触れていきます。

カルマカード

このカルマカードの要素こそ『サンサーラ・バラッド』最大の特徴であり、面白さの大きな要因ではないかと思っています。

カルマカードとはトランプを用いた本作特有のルールでして、具体的には、参加者それぞれが三枚のカードを持ち*9、セッションの合間にこのカードを使用していきます。

このカルマカードの使用方法は二つ。一つは参加者にロールプレイの演出を依頼する「オファー」。もう一つは、個人のロールプレイに対しての賞賛、言うならば「いいね!」を表す「プレイズ」です。

オファーとは、トランプのソートに沿った演出を参加者に依頼することを指します。例えば、ダイヤのソートであれば「興味」や「積極」、ハートであれば「情熱」や「愛」などのキーワードが設定されており、参加者はその場に応じて手持ちのカードを使っていくわけです。

つまり、ヒロインと話しているPCにハートのカードを渡して「愛」を演出して貰う、ダイヤを渡して事件等に「興味」を示して貰う、と言った使い方が出来ます。

もちろん、オファーの内容が思い付かなかったり、自分なりの演出があるのならばこのオファーを断ることも出来るのでご安心を。その場合のデメリットも特にないため、参加者は思いつくままにオファーし合えばいいと思います。

そしてカルマカードのもう一つの使い方が、各自の演出に対して「いいね!」を表明するプレイズです。オファーがロールプレイの依頼だったとすれば、プレイズはロールプレイの評価、と言っても良いかも知れません*10

卓を囲んでいると、思わず笑ってしまう演出、格好良いと感じた台詞などに度々出くわすと思います。そうした際、目に見える形で「いいね!」を送り合えると言うのは、思った以上に楽しいんですよね。特に、プレイズをされるた際の嬉しさは何物にも代えがたいものがありました。

そしてカルマカードの対象となる参加者の中には、PLだけではなくGMも含まれています。つまり、GMが演出するNPCの演出に対してもオファーやプレイズを使えると言うわけです。得てしてセッション中GMは傍観者となりがちですが、このシステムではそうした暇な時間が起こり辛いのも良い点だと思います。

さらにこのカルマカードについて特に重要なのは、使用されたカードが個人の所有になるのではなく、PC全員のリソースであるカルマとして蓄積されていくことです。このカルマは後述するチートを使う際に使用するリソースでして、多ければ多いほどボス戦等で有利に働きます。

リソースが個人ではなくパーティへ還元されるこの仕組みは、この手のシステムでありがちなPLへのカードの出し惜しみが起き辛い点で素晴らしいと思います。少なからず、PL間でリソース差が出てしまうことへの抵抗はあるはずなので……。

チート

昨今の異世界転生ものにおいてなくてはならない能力「チート」。異世界転生を扱う本作でもそれは例外ではなく、PC達は作成時点で一つチートを授かることとなります。

チートは「発火」や「植物操作」と言った具体的なものから、「虚偽」や「威風」と言った一見詳細が分からないものまで多種多様。そしてチートは複数ある汎用効果の他、それぞれ独自の固有能力が設定されています。

そのうえチートは額面通りの効果を発揮するだけではありません。なんとチートを拡大解釈した使い方もルール上推奨されています。例えば、これは掲載のリプレイでの使用例ですが、発火のチートを持つキャラクターが敵陣の偵察の際、兵站に火を付けて敵への妨害行動を行っていました。こうしたフレーバー的な使用はもちろん、効果の大きさに応じたカルマを使用することで、ゲームに影響を与えることも可能となっています。もちろんこうしたチートの使い方はGMの許可が必要ですが、いわば口プロレス*11が許容された柔軟性も本作の魅力の一つでしょう。

ちなみに、こうしたチートは好きに選べるわけではなく、三回振ったチート表の結果の中から一つを選ぶこととなります。このようなランダム性は好みが分かれるかも知れませんが、突発的に異世界へ飛ばされる転生者らしくはあるのかも知れません。

悟り

上記のチートの効果外の使い方として、本システムには「悟り」と言うルールが存在します。これはPC達が悟りを得る代わりにチートを用いて何でも可能としてしまうと言うものです。このチートを用いれば、ボスに10000のダメージを与えることも、死亡したキャラクターを蘇らせることすら可能にします。ただしこの悟りとは一種のリスクのことを指し、PCはランダム表から決定するデメリットを一つ背負うこととなってしまいます。多くの場合キャラロストへと繋がるため、一種の諸刃の剣と言っても過言ではないでしょう。

GMの許可が必要とは言え、ゲームバランスを壊しかねないまさにチートを体験することを可能とするこの「悟り」。実は自分たちもこれに助けられ、何とかPC二人で生還することが出来ました。

強大なボスの前に二人では手数が足らなくなり、悟りを開くことでボスを倒すことにしたPC①。ボスを倒すことには成功したものの、ランダム表の結果命を落としてしまいます。流石にこれでは後味が悪いと思った自分は、雑魚を掃討した後に「虚偽」のチートを用いてPC①を蘇らせることに。PC①が生き残れば格好がつくとの思いからの「悟り」の使用でしたが、なんとか死ぬことなしに*12PC①を蘇らせることに成功。大団円で幕を閉じることとなりました。

練りに練ったシナリオをブレイクし兼ねないGM泣かせの「悟り」ではありますが、用法容量を守って使えばとても面白い結果に繋がると思います。出目事故等の救済措置としてあらかじめルールが設けられていると考えれば、GMとしては下手な手助けをしないで済む……との考え方も出来るかも知れません。

その他、戦闘ルールなども戦略性がありなおかつ面白いので触れておきたいのですが、流石に長くなりすぎるので割愛したいと思います。

アドリブ力が試されるシステムという問題

システムの項で説明した通り、本作『サンサーラ・バラッド』はアドリブ力を要求される場面が多々あります。カルマカードの使い方はもちろん、チートの使い方なども含めて咄嗟の決断が必要です。そうした突発的な事態への対応、言わばエチュード的な要素が本作の、引いてはTRPGの魅力だと思っています。しかし、そこに苦手意識があるプレイヤーも当然存在します。

当意即妙の返しが必要ではないとは言え、そう言った要素が強いシステムであることは遊ぶ前に説明する必要があるでしょう。とは言え、咄嗟のロールプレイ等が苦手であるからと言って、本作が遊べないわけではありません。

無理強いはよくないにしても、遊びやすいように工夫をすること、配慮をすることで共に楽しむことは出来るはずです。当たり前のことかもしれませんが、こうした心がけこそ大切なのではないかと最近よく考えてしまいます。 

終わりに

顔を合わせて遊ぶことの難しくなった昨今、どうにかTRPGのモチベを維持しようと書き始めたこの記事、気が付けば随分と長い記事になってしまいました。もう少しコンパクトにまとめられたらとは思うものの、その辺は慣れと練習あるのみ。気長にブログの更新をして成長していきたいと思います。

異世界転生を気楽に楽しめる『サンサーラ・バラッド』、魅力が伝えきれたかは分かりませんが、是非手に取って欲しい意欲的なシステムとなっています。私は詳しくありませんが、オンセと言う選択もありますし、今こそTRPGのシステムの買い時……なのかも。

では、長くなりましたが今回はこの辺で。

*1:下書きにはいくつかTRPG関連の記事があるので、いずれはそれを形にするかもしれない。

*2:システム名の「サンサーラ」とはサンスクリット語で輪廻や転生を意味する。

*3:ちなみに最近ではこの手の世界観を「ナーロッパ」と呼ぶ……らしい。「な」ろう系+ヨ「ーロッパ」とのことだが、寡聞にして知らなかった。なんだか時代に取り残された気分がする。

*4:今回はクイックスタートで遊んだため、キャラ作成の奥深さは体感できず。

*5:NEW GAME PLUS公式サイト「サークル情報」https://newgame-plus.jp/company

*6:Role&Rollサンサーラ・バラッド関連アイテム」http://r-r.arclight.co.jp/rpg/samsara/item-samsara

*7:サンサーラ・バラッド』ではシナリオのことを「バラッド」と呼ぶ。ただし本記事では一般的な呼称としてシナリオと書いていく。

*8:キャラクターごとの得意分野のこと。

*9:ゲームを通して三枚と言う訳ではなく、あくまで同時に持てるカードが三枚までと言うこと。その都度カードは補充されていく。

*10:プレイズのルールは『天羅万象』シリーズにおける合気チットに近いかも知れない。

*11:ここでの口プロは悪い意味ではなく、GMへの提案と言った意味。

*12:その代わり次に死亡した際、即座に解脱(キャラロスト)すると言うデメリットを得ることとなった。