はじめに
現在当ブログでは「サメ企画」という企画を行っておりまして、こちらは月に一本、サメに関する映画や本などの感想を書いて行こう、というものになっています。
詳しくは上記のブログを見ていただくとして、こちらの企画、実は7月分から滞っているんですよね。まあブログ自体の更新も滞っているので、サメ企画だけが問題というわけではないんですが、既に当初の月一本の計画は崩れようとも、企画倒れは何とか防ぎたいので、今日は7月分のサメ企画を更新しようと思います。
さてこのサメ企画、始めようとしたきっかけは、ちょうどサメをメインに据えた小説が三本と、サメについての扱った民俗学の本が手元にあったからでして、本で三冊記事を稼げるのなら、アマプラにもクソサメ映画はたくさんあるし、月一で書けるだろう、という甘い目算で始めてしまったんですよね。
ただ、始めてみると意外と作品の選定が難しく、特に映画は当たり外れが酷いため、感想を書く気になれない作品と出くわすと、楽しくはあるんですが、仕事の合間の限られた時間で観ている身としては結構困る。
で、だからと言うわけではないんですが、この企画を続けるにあたって一度サメ映画を学ぼうと思い手に取ったのが今日感想を書く一冊となります。今後のサメ映画選びの参考になるだけでなく、サメ企画として取り上げられるのだから一石二鳥です。
感想
感想を書いて行くのは、サメ映画ライターとして知られる知的風ハットさんによる『サメ映画大全』。この本は物凄い本でして、なんと出版時点に配給されていたサメ映画のほとんどすべてが網羅された評論本となっています。
その数なんと100作以上。A級、Z級を問わず、作品それぞれにストーリーと解説が見開き1頁から2頁ほどの分量で書かれているのだからたいしたものです。私のサメ企画とは雲泥の差。
その着眼点は流石はサメ映画ライターといったところで、ストーリーや映像の出来不出来に関してだけでなく、過去作から映像を流用している点や、制作陣や役者の他サメ映画における活躍などがしっかりと語られています。この辺りはただの映画ライターではなく、サメ映画ライターらしいきめ細かさだと言えるでしょう。
また、作品それぞれに恐怖度、オススメ度、トンデモ度について5段階評価がなされているため、次に見る映画を選ぶガイドブックとして機能しているのも嬉しいところ。これが自分が見たことのある映画だったりすると、自分の評価との相違点が見えてくるのでちょっと面白いですね。
実際、私がさほど面白いと思わなかった映画について、あまり考えていなかったポイントを評価したりしているのを読むと「なるほどなあ」と感じますし、逆に自分が面白いと思った映画があまり響いていなそうだと、それについても「なるほどなあ」と感じたりしました。
また、作品が公開順に並んでいるため、サメ映画史を概観できるのも本作の良い所だと思います。『ジョーズ』は言わずもがな、要所要所でサメ映画の流れを変える作品が登場し、その後追いが生まれる、という一連の流れを感じられるのは楽しいです。
ちなみに、結構な割合で書く内容の選択に困ったんだろうな感が滲み出ている文章があったりして、作者の苦労が行間から読み取れるのは趣深さがあって面白かったです。専門家でも言葉少なになってしまうとは、流石はサメ映画。
そして何よりも読んでいて感じたのは、世に存在するサメ映画の数の多さとバリエーションの豊かさ。私も一般人よりはサメ映画を観ているつもりですが、それもあくまで氷山の一角に過ぎないことを改めて感じました。
純粋に観てみたい作品はもちろんのこと、怖いもの見たさで見てみたいと思える作品も多く、今後の私のサメ映画ライフはきっとより豊かなものとなることでしょう。ブログを書くのもきっと捗る、はず。
おわりに
というわけで、今回は『サメ映画大全』の感想となりました。確実に読む人は選ぶものの、サメ映画大全と言うタイトルを見てビビッと来た人なら確実に楽しめる一冊となっているので、気になった方は是非とも手に取ってほしいと思います。サメ映画に興味がなくとも、この奥深さをきっと垣間見れるはずです。
ちなみにこの本で初めて知ったんですが、かの有名な『ジョーズ』って、原作小説があったんですね。てっきり映画オリジナルだと思っていました。下記の記事で「サメ小説界の『ジョーズ』」なる表現をしてしまっていますが、完全にミスですね。
まあ、今後もこの手のミスが散見されることに変化はないでしょうが、生暖かく見守っていただければと思います。次は早めに書きたいと思うだけは思いつつ、今回はこの辺で。ではでは。
▶サメ映画大全
▶著者:知的風ハット
▶装画:高橋将貴
▶発行所:左右社
▶発行日:2021年7月30日初版発行