たぶん個人的な詩情

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【映画感想】『劇場版チェンソーマン レゼ篇』――正解に次ぐ正解。最高の原作をもとにした最高の劇場アニメ。

はじめに

気付けば観に行ってから数週間経ってしまっているのですが、今回は絶賛公開中の『劇場版チェンソーマン レゼ篇』の感想です。

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情報が更新される度に興行収入がぐんぐんと伸びていくこちらの映画、それも当然だよなあと思える面白さでしたので、個人的に感じた大ヒットの要因と、面白かったポイントを中心に感想を書いて行きたいと思います。

一応、ネタバレには配慮しつつ感想を書いて行きますが、ネタバレを恐れるくらいなら取り敢えず映画館に行って欲しい。それくらい面白かったです。

なお自分の『チェンソーマン』履修具合は、単行本既読、アニメ未視聴、総集編未視聴と言った感じ。とは言え、レゼ篇以降の展開について核心には触れないため、その点はご安心いただければと思います。

感想

まず、本作は「映画」として滅茶苦茶面白いです。なので、気になりつつもまだ観に行っていない方は、今からでも是非観に行って欲しいですし、もっと言えば、気になっていなくても観て損はないとすら思っています。

当然ながら本作は『チェンソーマン』テレビシリーズの続編にあたるわけですが、多分観ていなくても十分楽しめます。それくらい、本作だけで映画として完結している。

初見でも楽しめるストーリーと圧倒的な情報量、適度な余韻

実際、ネット上でも「レゼ篇は劇場版用のエピソードに思える」、と言った意見が見られるほど。確かに、言われてみるとレゼ篇はまさにそんな構成なんですよね。

詳しくは書きませんが、劇場版用のエピソードと思えるくらい、ストーリーが映画として完結している。これこそが興行収入80億を超えた大きな理由だと思っています。もちろん、アニメ映画としてのクオリティの高さや米津さんの神曲、更新される入場特典と言った部分は言うまでもありません。

作画は最高峰だと思いますし、声優陣の演技も良い。主題歌以外の音楽も最高。特典だって良いもの揃い。かく言う私も「IRIS OUT」に釣られて観に行き、神曲に見合う内容を正面からぶつけられて参ってしまった人間の一人です。


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しかし、『チェンソーマン』を観た・読んだことのある人だけでは、ここまでの集客は見込めなかったに違いありません。

初見でも観られること。それこそが、この映画のヒットの要因なのだと思います。

言ってしまえば、本作の大筋はボーイ・ミーツ・ガール。そこにド派手なアクションが加わっている。楽しめない訳がありません。感覚としては、アニポケをよく知らなくても『水の都の護神』は楽しめる、と言ったものに近いと思います。

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そして、観終わった後にまた観返したくなると言うのもヒットの要因の一つ。なぜ観返したくなるかと言えば、本作を観た方なら分かる通り、この映画の時間当たりの情報量が多いからだと個人的には思っています。

オープニングだけでも原作の小ネタが数多くありますし、キャラクターのちょっとした仕草から推し量れる情報量も多い。バトルの映像は一回では追い切れないほど。処理しきれない情報量を浴びせられる気持ちよさが、この映画にはあります。

また、セリフだけでは真意が分からない、心情部分の適度な「謎」が余韻として残される点も、観返したくなる客層が絶えない理由だと思っています。事実、デンジとレゼの関係性に脳を焼かれてしまい、何度も観に行っていると言う方も多いはず。

想像していたハイスピードバトルを、想像以上のクオリティで

と、ここまでは(誰もが思いつきそうな)ヒットの理由をくどくど語ってきたわけですが、ここからは自分がこの映画を楽しめた理由を、さらにくどくどと語っていきたいと思います。

いったん自分語りをさせてもらうと、実は私、オタク趣味を持ちながら、あまり漫画やラノベ原作のアニメを観ません。バトルものは特に。

理由はいくつかあるんですが、一番の理由は、自分が原作を読んでいて想像していたテンポ通りに映像や台詞、脚本が進まないことにモヤモヤしてしまうからです。

本来はスピーディなバトルなのに、視覚的にはゆったりとしたバトル。しかも、戦っている二人がだらだらと言葉を交える。正直な話、これを見ていると恥ずかしくなってしまうんですよね。

その点、このレゼ篇は漫画で読んでいたまんまのテンポでストーリーやバトルが繰り広げられます。これの気持ち良いこと気持ち良いこと。

しかも、アクションについては原作以上の盛られ方をしており、制作陣がしっかりと原作の描写を読み込み、その上で余白を膨らませることに成功しています。

原作だと何が起きているのか分かり辛かったり、端折られている感じがしていた部分が丁寧に補われているのは、制作陣の愛を感じます。

もちろん、アニメ映画映えする原作があったからこそ愛が生れた、と言うのもあると思っていて、例えば、ボムによる戦闘は映像として観てみたい、作ってみたいと言う思いを作り手にも書きたてたはず。爆発による空中機動なんて、映像にしてなんぼみたいなところがありますからね。

その他、台風の中を突き進むデンジとビームの戦闘描写もかなり補完されており、映像として観ていて楽しかったです。もちろん、演者の方たちの演技も最高でした。

バトル以外の要素も正解‼ 正解‼ 正解‼ 正解‼

そして、バトルに至るまでの過程、つまりはマキマさんとのデート、レゼとの出会いから祭りの花火までが丁寧に描かれていたのも良かった。この緩急があるからこそバトルが映えるわけです。

特に、こちらのパートでは原作以上に笑わせてもらったのが印象的でした。原作で読んだ時も楽しかったんですが、ギャグっぽい部分は声と映像の相乗効果でより面白かったですね。デンジのマキマさんへの反応、レゼへの好意に対する心情など、最高でした。

あと、先ほどバトルでは余白を埋めるカットが多いことを評価しましたが、逆にラブコメパートでは原作に手を加えることが基本なかったのが良かったと思っています。

例えば祭りのシーン。祭りを楽しみ、花火が上がるまでの時間は映画オリジナル要素を入れやすかったはずなのに、それをしかなった。そこまでが良すぎたために、ここでアニオリは冷めると思いながら観つつ、当然そんなものはなかった。

もちろん、追加された小動物のカット、電話ボックス内での仕草や、屋上の飛行機、プールの際の蝶と蜘蛛などはオリジナルですが、こちらは原作が進んだ上での適切な補完であったり、映像的に必要なカットだったと思っています。オリジナル要素としてはオープニングの三人の日常、くらいが丁度良かったです。

ストーリーについても少しだけ

さて、ここまでストーリーについては触れて来なかったわけですが、それは原作自体の魅力だと思っているので、ここでも多くは語りません。

ただ、やっぱりデンジとレゼのボーイ・ミーツ・ガールは最高でしたね。花に始まり花に終わる。あのほろ苦いストーリーは、結末が分かっていても良かったです。

前エピソードで登場した新キャラクター達も、デンジとレゼを邪魔しない範囲で適度に活躍し、次のエピソード前の顔見せもしっかりと果たしている。改めて、よく出来ているなあと感じてしまいます。

特に、天使の悪魔はレゼ篇で一気に好きになりましたね。デンジとレゼの裏で展開するアキと天使の関係性の変化も、レゼ篇の肝だと思っています。最後、鼠に語りかけるところとかすごく好き。

好き繋がりで言えば、実力あるモブ系に惹かれる身として、野茂さんと副隊長がすごく好きだったりします。絶体絶命の状況下でも軽口を叩けるあの感じ、良いですよね。相手が悪かっただけで普通にやれば強い感じのキャラクター、昔から好きです。

おわりに

と、どんどん脈絡のない方向へと進んでしまいましたが、好きなものほどそうなってしまうのはしょうがないこと。大目に見ていただければと思います。

それにしても、次のアニメ化はどうなるんでしょうね。テレビアニメ化か、同じく劇場版か。次の刺客編は個人的に『チェンソーマン』で一番好きなエピソードな上に、藤本タツキと言う漫画家を天才だと確信したきっかけでもあるので、期待以上に不安が大きかったりします。

特に、刺客編は動的な要素よりも、静物画的な静けさに比重をおいた描かれ方をしており、アニメ化は難しそうだと感じているので。まあ、ここで不安がっても始まりませんし、これまでのアニメも予習としてちゃんと観ておきたいと思います。最初にも書いた通り、偉そうに書きながら実はまだアニメを観れていないので。

では、今回はこの辺で。年の瀬が近づいてきて色々と焦っている毎日ですが、ブログの更新も怠らずにやっていきたいところです。取り上げたい作品はあれど、形にできていない記事があまりにも多すぎる。


▶劇場版 チェンソーマン レゼ篇 / Chainsaw Man – The Movie: Reze Arc (2025 / 日本)
▶監督:𠮷原達矢
▶脚本:瀬古浩司
▶原作:藤本タツキ
▶制作:MAPPA
▶音楽:牛尾憲輔
▶編集:吉武将人
▶主題歌:米津玄師「IRIS OUT」
▶エンディングテーマ:米津玄師、宇多田ヒカル 「JANE DOE」
▶挿入歌:マキシマム ザ ホルモン「刃渡り2億センチ (全体推定70%解禁edit)」

▶挿入歌:レゼ(上田麗奈)「ジェーンは教会で眠った」
▶出演者
デンジ:戸谷菊之介
ポチラ:井澤詩織
マキマ:楠木ともり
早川アキ:坂田将吾
パワー:ファイルーズあい
東山コベニ:高橋花
ビーム:花江夏樹
暴力の魔人:内田夕夜
天使の悪魔:内田真礼
岸辺:津田健次郎
副隊長:高橋英則
野茂:赤羽健次郎
謎の男:乃村健次
台風の悪魔:喜多村英梨
レゼ:上田麗奈